図はオリンパスSZH、昭和59年に発売。当時のトップ実体顕微鏡。 シマズの固定倍率の実体顕微鏡にもの足らなくなった頃、ネットで中古の顕微鏡屋さんを良く覗いていた。 そこに、これが出ていて値段を問い合わせたが24万円ぐらいで趣味の昆虫のぞきやさんには売りたくないような気配のある返事をもらい、もっともなことで、又、手が出せる値段でもないので諦めたことがある。 物作りが廃れている悲しい現実の現れかもしれないが、ここのところネットオークションで良く出てきて意外な値段で終わることがある。 それで、ハロゲンランプが切れていたり、ステージの透明板と電源コードが無かったりしていたが中古顕微鏡屋さんの1/4の値段でつい最近手に入れた。 ピント合わせの動きもスムーズで最近まで現役の気配であったが、覗くとおぼろげな形のみで細部が見えない。頭をガンと殴られた気分になった。 しかし、よく考えると対物レンズは先端のでかい奴一つで、それから後は右左の光路は平行になっている形式で分解も簡単そうだし、レンズ清掃ができるかもしれないのに気がついた。 やってみると、下の2ブロックに4組のレンズがあり中の2組が上下するようになっていたが、細かく分解しないでも棒の先にレンズペーパーをつけると拭けそうなのでやってみた。結果は一度も拭かれたことがないのかと思うほど黒々とした汚れがとれた。上の接眼部の中は拭いていないこともあり完全な見えではないだろうが、ちゃんと細部は見えるし、手持ちのメイジテクノよりもズーム比も大きいので観察の範囲が広がる。 それに撮影装置もついていて手持ちのミラーレス機で動画が撮れるし楽しみが増えて嬉しい限りだ。
コマユバチの1種みたいだが、小さいのは全くお手上げである。体長0.3センチメートル。 久しぶりの立体写真なのだ。 前回のものと似たり寄ったりの大きさであるが、形は随分異なる。このハチは頭は割合大きいし、腹部は細長いが細いところはないたっぷりしたものである。外骨格が薄いのか、飴色の体は内部が透けているようにも見えて弱々しい感じがする。 せわしく動き回っていたが、複眼も大きいから走るよりは飛ぶ方が得意かもしれない。 翅の中央は緑色で綺麗なもので腹も緑かと思ったが、よくよく見ると腹は赤っぽい黒だった。不思議なことがあるものだ。
ハチは寄生するものが多い。そしてごく小さいものがものすごくいることに驚くが、我が家の玄関先のカラーの葉を良く探すと見つかる。 上の写真のコガネコバチは最近捕まえたものだ。体長0.2センチメートル。 このほかにも違う種類のを2匹捕まえたのでいろいろでているようだ。 下はコマユバチのようだが体長0.28センチメートルなので、大きさは大体あっているだろう。 こうして並べてみると形の違いが随分あるのに驚かされる。 脚の長さの違いは、体の構えを低くするか高くするかの違いになっている。それに応じているのかもしれないが触角の長さは極端に違っていて、臭いはともかく触って探せる範囲は大きな違いがある。 頭も体に比べてコガネコバチが断然大きい。 獲物の違いが体の違いになっているのだろうが、そんな場面は見たことがないのでさっぱり見当が付かないのだ。
道志村写生会では河原に降りて石も拾ってきた。 仲間に石の名前を聞かれ、「名前は分からないが、ごま塩おにぎりが丹沢側、緑色が反対側からのもの。」と自信たっぷりで答えたが、答えるそばからほんとかしらんと不安になってきた。 帰ってきて調べたのが下の図だ。 真っ黒の部分がごま塩おにぎりの石英閃緑岩類だから間違いとも言えないようだが、100%正解でもないみたいだ。 プレートテクトニクス理論では、伊豆半島はフィリッピンプレートに乗ってユーラシアプレートに衝突中だそうだ。丹沢山地や御坂山地、遠くは巨摩山地までも過去に衝突、付加したらしいので、随分遠くまで影響を及ぼしているといえる。 参考にした図は、「日本の地質3関東地方」(日本の地質「関東地方」編集委員会編)共立出版1986年初版1995年初版第5刷からのもので、プレートテクトニクスの横からの力は考慮されていない。代わりに、地盤が深く沈下しながら厚く堆積した後にトーナル岩マグマの貫入により中心部が隆起したと説明してある。上下方向の変化で考える地向斜という説らしい。 ごま塩おにぎりは深成岩のトーナル岩、緑色は海底火山で吹き出た砕屑岩がトーナル岩の圧力によって変成した緑色片岩ではないかと思われるが、独学のつらいとこで明確ではない。 地質の本は難しくて手に負えなくて、いまだに目を通しているというレベルだしこのままで終わるのだろうが、地球の歴史は好きで昔から読んではいるのだ。
ハモグリバエの1種ではないかと思うが不明。Nの1月30日に取り上げたハエかと思ったが比べると随分違っている。体長0.25センチメートル。 玄関先のカラーの葉の上をチョコチョコと動き回っていたもの。 個展は6日で無事終了、毎日詰めて大勢の人と会って話してくたびれた。類例のない絵で拒否反応を心配したが、しっかり見て頂いた人もあり何とか通じたようだ。 しかし、一週間の緊張でへとへとになったので絵はちょっとお休み。ハエはハエでもかわいらしいものの写真で息抜きだ。
これも昔の記録である。この日は二匹捕まえて、ラフなスケッチで記録したわけだ。色もつけたのはハチの黒と黄色が印象的だし、ハエも黒々とした気持ち悪さのないハエを現すためなんだろうなとか思うが、ただの気まぐれだったかもしれない。 冬でもハチもいるしハエもいる証拠の記録だ。
5回目の個展になるが、29日夜に飾り付けをしてきた。 画廊のご主人夫妻が並べ方の助言と、作品の壁取り付けと照明の調整をして下さるが、長年のプロの仕事で、手際が良くて気持ち良く作業できる。 並べる順番と照明の仕方で絵の印象が違ってくるので気を遣う作業なのだが、おおいに助けてもらっているわけだ。 準備は出来た。来週月曜からの一週間は楽しみでもあり、恐怖の時間でもある。
12月1日からギャラリー惣で個展をする。もう一週間もない。 今回は珪藻の絵でまとめ、2010年の「珪藻の世界」から今描いているものまで8点を並べる。 人様に見て頂くのが本来の主旨だが、自分でも一週間自分の絵と睨めっこして、珪藻をどう見て、どう描いたか5年の変化をじっくり見ることになるわけだ。 進化していればよいが、停滞したり後退していたら大変だ。 ギャラリーの客観的な壁面は情け容赦なく実体を示唆するものだ。
どこまで正確かは定かではないものの、ハナアブを解剖して心臓を取り出すことがやっと出来た。 昆虫の心臓は腹部の上部に張り付いているそうだ。人間の心臓と違って筒状でそれを伸縮させる筋肉(翼状筋)はヨットの帆みたいに背中に張り付いているらしい。 心門が途中に開いていてここから体液を取り込むらしい。 そして細い大動脈で頭まで送り込むらしい。 実際の観察では翼状筋はよくわからなくて、代わりに小さなつぶつぶが沢山付いていた。栄養分なのかなとも思うがなんだか分からずじまい。 心臓の先のほうは、それこそ筋肉のような太い組織が目立つが、これもなんだか分からない。 一人でやっていると分からないことばかりだ。
相も変わらずMWS珪藻プレパラートAMM-01の珪藻たちだが、今描きかけの絵だ。 このプレパラートを観察し始めた頃は、小さいものが多くて絵には無理かなと思っていた。しかし、何が良かったのか、もう5枚目になる。 今回のは纏まったものと離ればなれになったものとの緊張感というものに惹かれたようだ。 そして、白バックに形がだんだんと明らかになってきたとき、何故か、平等院鳳凰堂内壁の純白の漆喰に鮮やかに浮かんだ黒ずんだ木製の天女達を思い出した。
体内で孵化するハエの生殖器を取り出して色素で染めたものである。 左端の黄色丸印に黒い丸いものが三つある。定かではないが、卵巣二つと交尾器と精子を溜め込むところではないかと思う。 ここから卵を生み出して左側にどんどん送り込むわけだ。 青丸の所ではまだのっぺりしたものだが、緑丸の所では頭に爪が出来ているし、見えにくいが体節毎に細かい毛が生えている。太さはあまり変わらないようだがかなり長くなっている。 そして左下の黒くなっているところが尻の外骨格の一部である。ここから幼虫が出てくるわけだ。そして、前回Bの写真のように頭を持ち上げて寄主に爪でひっかけてすがりつくのだろう。 しかし凄い数であるが、これで全てではないだろう。産み落とすとその分が又追加されるに違いない。交尾しているのを見つけて10分以上見ていたことがあるが、それでも離れなかった。精子を大量に溜め込む必要があるのだろうと思ったものだ。 爪は3分の一ぐらいのところで出来はじめている。意外に早く姿を現すようだ。だが活動のスイッチは体の中では入れられない。どんな仕組みでスイッチオンになるのだろうか。 疑問は次から次に出てくるが、命の仕組みはオドロキの連続だ。
2日の昼に室内に迷い込んだハエ。やけに元気に飛び回っていたが、捕まえたところ随分くたびれた個体で、左触角と右後脚を失っていたし棘毛も先が折れているものが多かった。 体長1センチぐらいのヤドリバエの1種のようだった。 尻はしっかりカバーされていて雌の様な気もしたが見分けられなかった。 トレペで小部屋を作って観察していたのだが3日になって見たら、なんと子供がでていた。 (Aの赤丸の中) このハエは卵を体の中で孵す種類だったのだ。寄主の居る場所を探して飛び回っていたのだが閉じ込められて、孵ったものをやむを得ず出したのだろう。 幼虫はBの写真のように壁や床に垂直に立ち頭を振っていた。寄主が来るのを待っているのだろう。20匹ぐらい出てきたが、かわいそうだがこのまま餓死することになる。
これは古いものだが2年半ばかり前の寄生バチの記録だ。コマユバチの1種だろう。体長0.35センチメートル。長い産卵管でイモムシなんかに卵を産み付けるわけだ。 蜘蛛の巣に捕らわれたものを横取りした。 小さくて、外骨格の柔らかいのは死ぬと形が分からないほど縮んでしまうが、蜘蛛に捕らわれたものは意外に元の形をとどめるようだ。 麻痺させられているのかもしれないし、体液を素早く吸われるせいかもしれない。なぜか大アゴは開いていて口器の様子もよく分かった。 メモは小さくて読めないので大きくして活字化した。当時の勉強ぶりが懐かしい。 上段のSHIMZU40Xは当時持っていた実体顕微鏡で2倍の対物レンズで20倍の接眼レンズを使用した場合の視野を円で描いてある。直径6ミリメートルである。 観察を続けるうちに固定倍率の実体顕微鏡に物足りなくなって、新品は無理なのでネットオークションの中古品でメイジテクノの三眼式ズームに買い換えてしまったが、こんなところにシマズの名を書いていたとは。
この絵は4月末に手をつけていたものだ。 無論連続していじっていた訳ではなく、間には新作家展のF120があるし、新規に手をつけている二点もある。 途切れ途切れだがそれでも5ヶ月ほどいじっていたわけだ。 ので、描いている時間より眺めている時間が圧倒的に多かったわけだ。 それがどうしたのと云われそうだが、描き始めたときの気持ちと仕上がったときの気持ちの差が凄くあるような気もする。 5ヶ月はあれこれ戸惑う時間で、必要なものだったのかもしれない。 絵ができあがるのは絵を描く本人の力には違いないが、じつは別の力がいろいろ働いて、本人の頭が考えているようにはできあがってこないものだし、ましてや5ヶ月も経つと考えも変わってくるしで、いままでのものとは異なるものができあがったような気もするが、どうだろうか。
ハチ(膜翅)目コマユバチ科アブラバチの1種らしい。体長0.2センチメートル。 アブラムシの幼虫に寄生してマミーにするというハチだ。アブラムシは非常に多いからこの手のハチも多くなくてはいけない道理だが、あまりにも小さいので気づく人は少ないだろう。 上の図は亡骸のスケッチ。縮こまって生き生きしたものにはならないし、腹部などはますます縮み形をとどめなくなってきて、元の形がわからなくなる。 それで、下図のように部分に分けて細かくスケッチするわけだ。 辛気くさい仕事だが、こういった地味な仕事の積み重ねが、正確で生き生きした昆虫の絵になってくれると信じてやっているわけだ。
撚翅目スズメバチネジレバネの雄体長0.5センチメートル。 前回の写真では姿がわからないので、図鑑の力も借りて鉛筆で描いてみた。 特殊な生き方のムシで成虫の寿命は数時間しか無いらしいが、巨大な触角で雌のフェロモンを感知してふわりふわりと目的のスズメバチにたどり着いて尻の隙間に寄生している雌とめでたく交尾するわけだ。 御浦風物誌のコガタスズメバチはカマキリの肉団子を作るのに20分以上を掛けていたとのことであったから、のんびり行ってのんびりと尻にすがりつけばいいわけだ。飛び回っている奴に素早く乗り移るなんてことはしなくても良い。というか、この体ではとても出来そうにない。 しかし、雌の在りかまではとにかく飛んでいかなければならない。それで後胸だけを極端に大きくして飛行能力だけは十分にある体にしているし、センサーの触角と複眼も立派だ。 ところがそれ以外は貧弱なもので、腹は精子を作るだけ、脳みそなぞは決められた手順をこなすだけで簡素なつくりになっていると思われる。などとまたしても妄想してしまったのだ。
御浦風物誌にコガタスズメバチの狩りの記事がでていた。写真を見るとこのハチみたいだった。体長2.5センチメートル。 赤矢印のところが段になっていて不思議だったが、黒いものが見えたのでピンセットでつまみ出したらネジレバネだった。 つまみ出したときは、写真のように翅を広げていなかったし、腹も白くてひとまわり小さい感じだった。 もう二度とお目にかかれないだろう貴重なムシなのに、片方の触角は取り出すときに取れてしまったし、外骨格も柔らかいので無様な形にしてしまったのが残念だ。 ネジレバネはハチやウンカの体内に寄生しているムシだそうだ。ウジ虫状で体液を吸うだけなので寄主の命は奪わない。 雄は蛹のとき腹環節の間に頭を突き出し蛹化しついで羽化するそうなので、その状態で捕まえたようだ。 雌も同じようにして頭を突き出して雄がくるのを首を長くして待っているらしいが、成虫は摂食しないらしく、交尾の期間は僅かで、ほんのひとときの逢う瀬で子孫を残すのだろう。また、大量の卵を産むらしいので生き残る確率はものすごく低いわけだ。まあ、幸せなムシとも思えないなあなどと、余計なことまで感じてしまった。
ヤモリの干涸らびたものを送ってくれた人がいた。しっぽの先までで5センチくらいか。昆虫を描いているので興味があるだろうと言うことだ。有り難いことである。 描かざる得ないと干涸らびたままをリアルに描くことにした。 描いてみると生体と違って縮こまっているから骨がどうなっているか想像することが出来た。 頭に大きなへこみが3個ある。目の2個は判るが後頭部にあたるところも大穴がある。意外なような気もするし当然のような気もする。また、胴体の高みで脊椎が並んでいるのも感じられた。確かに脊椎動物である。 真剣に見るといろいろ発見があるということか。
丹沢の西側を道志川は流れる。山間の狭い村だと思っていたら意外に開けたところもあり田んぼもあって色づいていた。 堤防に腰掛けて田を見下ろしながら道沿いの一際目立つ大木をスケッチした。宿はこの右側にある。 松かなと思いながら描いていたが、土地の老人が寄ってきて樅の木を描いてるのと話しかけてきた。たいして話もしないで去っていったが、これだけ目立つのだからいわれもありそうだ。聞けば良かったと今頃になって思うのだ。
アリを解剖したときに腸の間に弁のようなものがあった。ハエなんかにはこんなものはない。疑問に思っていたがひょんなことで解消した。 ドライブの徒然にラジオを聞いていたら、夏休み子供相談室でハチが餌をどう採るかの話があった。花の蜜をお腹の中に入れて巣まで持ち帰るので、腸の中に弁をもっているんですよとのことだった。 下段はハチの内部の模式図で弁は描いてないが、そ嚢と中腸のあいだにあるらしい。 上はアリの腸を染色した顕微鏡写真だが、アリもハチの仲間なので、同じように飲み込んだ餌はそ嚢に溜め込んで運ぶのだろう。弁もしっかり持っているわけだ
生物画家川島氏の講演内容を記事にしたものを読んだが、昆虫を描くのに形の観察はもとより幼虫までもたどってその虫の成り立ちを理解して、やっと意味のある線が引けるとのことだ。 この絵で云えば、どう幹や枝を伸ばし葉を茂らせたのかを理解していなければいけないことになる。 そんなことを考えていたら、はるか昔に見たテレビドラマ「コンバット」と思うが茂った木に潜んでいる狙撃手を、枝振りの不自然さを見抜く兵士の指すところを銃撃し狙撃手を倒す場面を思い出した。 小生は写生をするのにそこまで考えたことはないし、木の知識もない。全然平気で描いてきたが、見る人が見れば何の木かも判らないお粗末な絵だと、ひどく恥ずかしい思いがしてきたのだ。
MWS珪藻プレパラートDL-TESTのフナガタケイソウのなんとか。大きさ90マイクロメートルくらい。 @ABはピントの位置を上面から底面に移動して撮影したもの。上の幅と下の幅は極端に違っているので台形になっているのではないかと思う。 どんな姿をしているのか興味をそそられるものの、今のところはお手上げだ。しかし、Cのように顕微鏡で二本の縦溝と多数の胞紋の並びを見ると何とも言えず美しいなあと見惚れてしまうのだ。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリムシ科フトカミキリムシ亜科シロスジカミキリ。体長6センチメートル。6センチもある馬鹿でかいカミキリなので間違いないと思う。 6月24日朝に外流しのバケツの中でジタバタしていたモノ。運の悪い虫だがこちらにとっては見たこともない大物で興奮した。 大きくて肉眼でもおおよその形が判るので顕微鏡に頼らないでスケッチした。いけるかと思ったが細部ははっきりしないので虫眼鏡の助けも借りた。曖昧なところが多々あるのは恥ずかしいがよく見えなくてごまかしたところだ。 モスグリーンに白い模様が入ったムシだが、実体顕微鏡で見ると黒い外骨格にびっしりと毛が生えている。白い模様は下が全く見えないほど白毛が密にある。モスグリーンはそれほど密ではないので下地の黒と混ざり合って不思議な色になっている。肩の黒点は外骨格が豆粒状に盛り上がっているところだ。 昆虫の模様は外骨格に色が付いているように、なんとなく思っているひとが多いと思うが、毛の色だったり透けて内部の色が見えているのもある。おもしろいものである。
今回は新作家展開催中でもあり忙しかったので手抜きになってしまったが、前回の小さいモノに焦点を当てるとどうなるかを試してみた。 大きなモノが、実に巨大なモノに見えてこないだろうか。 また、小さいモノも同じゾウムシとはいえ、体の分厚さや脚の太さ、口器の曲がり方など随分違う形をしているのも見えてくる。 視点を変えたわけではないが、注目箇所を絞り込んだだけで新たな発見があったのだ。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ科のあれこれ。体長0.3〜1.6センチメートル。 体の大きさの違いを見るには横から重ねて見るのがよいのではないかと思う。アリでもしたがここ、ゾウムシで同じように1ミリ格子の上に置いて撮影し合成してみた。 大きさの順に、シロコブゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、コナラシギゾウムシ、コフキゾウムシ、イチゴハナゾウムシ、黒い小さなものは、はてなで判らず。どちらにしても確かさは心許ない。 この中でよく見たのはコフキゾウムシでツガっているのもよく見た。真鶴では一番栄えているゾウムシだろう。 シロコブゾウムシは大きくて目立つが1回しか見なかった。白黒のオジロアシナガゾウムシも目立つが数回といったところ。コナラシギゾウムシはコナラの大木の下で2回見た。 3ミリのイチゴハナゾウムシは庭のバラに来たもので3匹捕まえた。もう一つの3ミリのはたまたま捕まえたもの。この大きさのものは懸命に茂みをみて運良く見つかったものだ。 数えるほどの目撃例しかないのは、生態をしらず探し方が杜撰なのが一番の原因だが、箱根山裾の真鶴と云えど目につくところには昆虫は多くはいないし、蝶々の飛び方を見てもほとんど見ないから子供の頃に比べれば激減しているのは違いがない。
半翅目異翅亜目カメムシ科のクサギカメムシのようだ。体長1.7センチメートル。 少し前に家の中に飛び込んできたものだ。ズングリとした薄茶色のカメムシで大きさはかなりある。 植物の上でなく家の壁などで見かけることがあるが、樹上性で果樹の害虫との説明を読むと、新たな樹木に移る途中で人家に迷い込んでいる様な気がする。 カメムシはよく見かける。植物食で餌には困らないのだろう、その代わり肉食系に襲われてさんざん喰われてしまうので子供は沢山産んでないと生き残れないわけだが、ちゃんと沢山産んでいるのでどこでも見つけられるということだろう。
9月2日から都美術館で新作家展が始まる。22日は搬入日である。 珪藻の絵はM60号どまりだったが、今回はF120号と大きくなった分伸び伸びと描けたようだ。 形の正確さにこだわりひたすら写す作業だったが、それはあっさり捨てることにした。代わりに全体の釣り合いと部分が互いに影響し合って一体化することを心がけた。 ガラス板の上の平たい珪藻達が吹き寄せられて、あるものは離ればなれになり、あるものは寄り添いまた重なっている景である。 そこには主役もあれば脇役も居る。しかし、敵対するもの達ではない。皆仲間が戦いに敗れ敗残の身を寄せ合っているのだ。 なんとなくそんな気持ちで描いていた。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゴミムシダマシ科の1種だろう。体長0.5センチメートル。 ちょっと見たところではゴミムシの様だったが、後脚の附節が4個だったのでゴミムシダマシだろうと思うわけだが、それから先はさっぱりだ。 落ち着いてみたら頭を黒く描きすぎた。大アゴも濃茶なのに真っ黒くしてしまった。黒っぽい頭がいつの間にか黒の頭と思い込んでしまったに違いない。見るのが疎かになった証拠だ。反省すべし。 このムシは今年の5月に捕まえたものだが、葉っぱの上にいた。このてのムシは地表にいるものとばかり思っていたので妙な気がした。 ハムシとかを捕まえているのだろうか。触角も長いし複眼も巨大だ。
ハエの脚先がどうなっているか生物顕微鏡10xで見てみた。 先端だけを切り離して水で封入している。泡ができたのはご愛敬である。 切り離すのも難しいし、封入するのも大変だ。やっとこさでここまで来たが、形がはっきりと理解できるにはほど遠い。お粗末なものであるが珍しいものを見て下さいというところだ。
MWSのJシリーズから、名前もわからないが中心目の1種。大きさ70μm 下段は対物レンズ10xで撮影した暗視野写真で、その中の右側中央にあるものを対物レンズ40xで見たものが上段の写真だ。 胞紋の大きさは中央は有るかなしかで脇は一応穴の開いているのがわかる。これは、暗視野で見ると間隔が細かい開口部ほど青が濃くなるようだから、下段の写真から納得できる。しかし、下段の暗視野では、上に小円、下に大円の梁があって、その間を桁が放射状に渡してあるように見えるが、上段では単なるざるのようにしか見えない。 また、上段の40Xは白色LEDの輪帯照明で撮影しているのだが、なぜ茶と青の色がつくのかのさっぱりわからない。 ピントの移り方ではこの中心目はかなり厚みがあってお椀状のもののようであったことと、はっきりとは見えていない骨組みのせいではないか。と思うもののそれ以上は手も足も出なかったのだ。
国立科学博物館に展示されているルーシーである。 展示の解説は「エチオピア出土、320万年前、アウストラロピテクス・アファレンシスの成人女性。胸郭は末広がりで、骨盤は幅広い。脚は短いが腕は長く二足歩行だけでなく木登りもうまかった。脳容積は400mlと推定され、石器をつくることはなかったらしい。」となっている。 現生人類ホモ・サピエンスが属するヒト属(ホモ属)の祖先ではないかと考えられているそうだ。本当かどうかしらんが全てのヒトの遺伝子にはルーシーの遺伝子が入っているというわけだ。 中段写真左の骨格がルーシーの復元の元になった骨の化石だ。頭部だけはホンの破片しかないが他の化石から復元したもので補っているようだ。色違いの部分がほとんどだった。 下段の写真は、手前がネアンデルタール人、次いでホモ・エレクトスとルーシー。それを見つめるホモ・サピエンスというわけだ。 この復元がどこまで正しいのか定かではないのだろうが、凄くリアルで迫真的だ。小生が教育を受けていた頃はこんな立体的なものはなかった。あったのは復元図だが、それも迫真的ではなくのどかな感じのものだったような気がする。 人間の物事を突き詰めていく力はものすごいものだと感じさせられる展示だ。
MWSさんによると、本は理解できるまで読めとのことだが、この図のでていたリチャード・フォーティ著「地球46億年全史」は2回読んで少しは理解が深まったかなと図をコピーしてこの文を書き始めたが????になってしまった。 それで安直に文の一部を書き出してみると @2億年ほど昔に分裂したパンゲア大陸以前にも超大陸は4回以上存在していることがわかっている。 A古代の超大陸は信用を得て名前も付いた。10億年ほど前の大陸塊はロディニア大陸と呼ばれている。 Bもっとも古い始生代後期の超大陸の真ん中にいると想像してみよう。地球に最初にあらわれた超大陸だ。緑の草木など一本もないごつごつした景色が数千キロメートル先の地平線まで全方向に広がっている。30キロメートルほど先のグラニュライトの山から、いつなんどき鉄砲水が襲ってくるかもしれない。周囲の地面には、荒れ狂う水に運ばれてきた角ばった巨礫が散らばっている。長石が厳しい陽光の下できらきら輝いている。足元でシューシュー湧いている温泉は、美しいオレンジと赤紫の斑点に縁どられている。触れるとぬるぬるしているのはバクテリアが表面を覆っているからだ。 ・・・・などであるが ロディニア時代の東南極大陸やインド、オーストラリアは北半球にあるし、オルドビス紀のゴンドワナ大陸は南極点で凍り付いていたようだ。驚くべき世界である。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科オトシブミ科のセアカヒメオトシブミのようだ。あるいは7月10日の前翅が赤く変異したものかもしれない。体長0.5センチメートル。 昆虫を正面から見たことのある人はあまりないと思う。 この絵が感じをだせていると自信はないが、実物はなかなか恐ろしげなものだ。人間並みの大きさでそこらを歩き回られたら人は逃げ惑うばかりだろう。 幸いなことに、外骨格と気門と気管で直接酸素を取り込む体の仕組みは人に比べれば随分小さな体しか持てないらしい。 動物進化の初めの頃の特徴を残し動物界最大の種数を誇る繁栄した昆虫でも人を押しのける力はないわけだ。ということは、後から進化したものが常に覇権を握るということなんだろうか。 とはいえ、覇権を握られたものたちでも、しぶとく生き残るものは生き残るし、覇権を握っても恐竜のように滅びてしまうものもある。 命はおもしろいものである。 鋭い牙の大アゴを出して描きましたが、このムシは普段は出していません。しっかり閉じてほとんど見えません。
絵はどこまで描けば仕上がりになるのか。 それは、隅々までキチンと絵の具が塗られたときだろう。余白などはとんでもない。 それが一般解と思うが、世を見渡すとそうでないものもいっぱいある。 セザンヌは若いときは重苦しい色の厚塗りだったが、だんだん明るい絵の具を薄く塗るようになっていき、晩年は余白だらけの点々だけというものまである。 この絵を描き始めたときは、しっかり仕上げるつもりだったが何か虚しさが込み上げてきた。 残骸が空しく折り重なっているんだからぐちゃぐちゃでいいじゃないか。 その感じだけで十分だ。 明るい茶系のものだったが、だんだんグレーが浸食してブルーも入ってきた。ここで終わりにするのはどうかとためらいもあるが終わりにしよう。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科オトシブミ科のヒメクロオトシブミのようだ。体長0.5センチメートル。 ハムシとかゾウムシの脚とほとんど同じなので、近い仲間に違いない。ブラシのような足先は葉っぱの上をスムーズに歩くのに都合がいいし、葉っぱの端っこを引っかけるのに都合の良さそうな爪も持っている。体も小さいのが多いみたいで葉上生活に適しているムシ達なんだろう。 オトシブミの名前の由来は葉を葉巻みたいに巻いてその中に卵を産みつけて切り落とすが、この落とされたものは江戸時代に他人にばれないようにわざと手紙を道ばたに落として他人に渡した「落とし文」のようだからということらしい。 コロッとした体に細長い首がついているような特徴的な姿と、しゃれた名前の覚えやすいムシだ。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科のなんとか。体長0.4センチメートル。 サルハムシの一種みたいだ。 ハムシは金花虫とも書くらしいが、このハムシは金属光沢の鈍い金色でピカピカの華やかなものではないが、金花虫の表示にぴったりだ。 この絵では力不足で金色より茶色に見えてしまうが本物は間違いなく金色です。 小さいせいかもしれないが、元気が良くてせっせせっせと動き回っていた。
2014.12.30
図はオリンパスSZH、昭和59年に発売。当時のトップ実体顕微鏡。
シマズの固定倍率の実体顕微鏡にもの足らなくなった頃、ネットで中古の顕微鏡屋さんを良く覗いていた。
そこに、これが出ていて値段を問い合わせたが24万円ぐらいで趣味の昆虫のぞきやさんには売りたくないような気配のある返事をもらい、もっともなことで、又、手が出せる値段でもないので諦めたことがある。
物作りが廃れている悲しい現実の現れかもしれないが、ここのところネットオークションで良く出てきて意外な値段で終わることがある。
それで、ハロゲンランプが切れていたり、ステージの透明板と電源コードが無かったりしていたが中古顕微鏡屋さんの1/4の値段でつい最近手に入れた。
ピント合わせの動きもスムーズで最近まで現役の気配であったが、覗くとおぼろげな形のみで細部が見えない。頭をガンと殴られた気分になった。
しかし、よく考えると対物レンズは先端のでかい奴一つで、それから後は右左の光路は平行になっている形式で分解も簡単そうだし、レンズ清掃ができるかもしれないのに気がついた。
やってみると、下の2ブロックに4組のレンズがあり中の2組が上下するようになっていたが、細かく分解しないでも棒の先にレンズペーパーをつけると拭けそうなのでやってみた。結果は一度も拭かれたことがないのかと思うほど黒々とした汚れがとれた。上の接眼部の中は拭いていないこともあり完全な見えではないだろうが、ちゃんと細部は見えるし、手持ちのメイジテクノよりもズーム比も大きいので観察の範囲が広がる。
それに撮影装置もついていて手持ちのミラーレス機で動画が撮れるし楽しみが増えて嬉しい限りだ。
2014.12.25
コマユバチの1種みたいだが、小さいのは全くお手上げである。体長0.3センチメートル。
久しぶりの立体写真なのだ。
前回のものと似たり寄ったりの大きさであるが、形は随分異なる。このハチは頭は割合大きいし、腹部は細長いが細いところはないたっぷりしたものである。外骨格が薄いのか、飴色の体は内部が透けているようにも見えて弱々しい感じがする。
せわしく動き回っていたが、複眼も大きいから走るよりは飛ぶ方が得意かもしれない。
翅の中央は緑色で綺麗なもので腹も緑かと思ったが、よくよく見ると腹は赤っぽい黒だった。不思議なことがあるものだ。
2014.12.20
ハチは寄生するものが多い。そしてごく小さいものがものすごくいることに驚くが、我が家の玄関先のカラーの葉を良く探すと見つかる。
上の写真のコガネコバチは最近捕まえたものだ。体長0.2センチメートル。
このほかにも違う種類のを2匹捕まえたのでいろいろでているようだ。
下はコマユバチのようだが体長0.28センチメートルなので、大きさは大体あっているだろう。
こうして並べてみると形の違いが随分あるのに驚かされる。
脚の長さの違いは、体の構えを低くするか高くするかの違いになっている。それに応じているのかもしれないが触角の長さは極端に違っていて、臭いはともかく触って探せる範囲は大きな違いがある。
頭も体に比べてコガネコバチが断然大きい。
獲物の違いが体の違いになっているのだろうが、そんな場面は見たことがないのでさっぱり見当が付かないのだ。
2014.12.15
道志村写生会では河原に降りて石も拾ってきた。
仲間に石の名前を聞かれ、「名前は分からないが、ごま塩おにぎりが丹沢側、緑色が反対側からのもの。」と自信たっぷりで答えたが、答えるそばからほんとかしらんと不安になってきた。
帰ってきて調べたのが下の図だ。
真っ黒の部分がごま塩おにぎりの石英閃緑岩類だから間違いとも言えないようだが、100%正解でもないみたいだ。
プレートテクトニクス理論では、伊豆半島はフィリッピンプレートに乗ってユーラシアプレートに衝突中だそうだ。丹沢山地や御坂山地、遠くは巨摩山地までも過去に衝突、付加したらしいので、随分遠くまで影響を及ぼしているといえる。
参考にした図は、「日本の地質3関東地方」(日本の地質「関東地方」編集委員会編)共立出版1986年初版1995年初版第5刷からのもので、プレートテクトニクスの横からの力は考慮されていない。代わりに、地盤が深く沈下しながら厚く堆積した後にトーナル岩マグマの貫入により中心部が隆起したと説明してある。上下方向の変化で考える地向斜という説らしい。
ごま塩おにぎりは深成岩のトーナル岩、緑色は海底火山で吹き出た砕屑岩がトーナル岩の圧力によって変成した緑色片岩ではないかと思われるが、独学のつらいとこで明確ではない。
地質の本は難しくて手に負えなくて、いまだに目を通しているというレベルだしこのままで終わるのだろうが、地球の歴史は好きで昔から読んではいるのだ。
2014.12.10
ハモグリバエの1種ではないかと思うが不明。Nの1月30日に取り上げたハエかと思ったが比べると随分違っている。体長0.25センチメートル。
玄関先のカラーの葉の上をチョコチョコと動き回っていたもの。
個展は6日で無事終了、毎日詰めて大勢の人と会って話してくたびれた。類例のない絵で拒否反応を心配したが、しっかり見て頂いた人もあり何とか通じたようだ。
しかし、一週間の緊張でへとへとになったので絵はちょっとお休み。ハエはハエでもかわいらしいものの写真で息抜きだ。
2014.12.05
これも昔の記録である。この日は二匹捕まえて、ラフなスケッチで記録したわけだ。色もつけたのはハチの黒と黄色が印象的だし、ハエも黒々とした気持ち悪さのないハエを現すためなんだろうなとか思うが、ただの気まぐれだったかもしれない。
冬でもハチもいるしハエもいる証拠の記録だ。
2014.11.30
5回目の個展になるが、29日夜に飾り付けをしてきた。
画廊のご主人夫妻が並べ方の助言と、作品の壁取り付けと照明の調整をして下さるが、長年のプロの仕事で、手際が良くて気持ち良く作業できる。
並べる順番と照明の仕方で絵の印象が違ってくるので気を遣う作業なのだが、おおいに助けてもらっているわけだ。
準備は出来た。来週月曜からの一週間は楽しみでもあり、恐怖の時間でもある。
2014.11.25
12月1日からギャラリー惣で個展をする。もう一週間もない。
今回は珪藻の絵でまとめ、2010年の「珪藻の世界」から今描いているものまで8点を並べる。
人様に見て頂くのが本来の主旨だが、自分でも一週間自分の絵と睨めっこして、珪藻をどう見て、どう描いたか5年の変化をじっくり見ることになるわけだ。
進化していればよいが、停滞したり後退していたら大変だ。
ギャラリーの客観的な壁面は情け容赦なく実体を示唆するものだ。
2014.11.20
どこまで正確かは定かではないものの、ハナアブを解剖して心臓を取り出すことがやっと出来た。
昆虫の心臓は腹部の上部に張り付いているそうだ。人間の心臓と違って筒状でそれを伸縮させる筋肉(翼状筋)はヨットの帆みたいに背中に張り付いているらしい。
心門が途中に開いていてここから体液を取り込むらしい。
そして細い大動脈で頭まで送り込むらしい。
実際の観察では翼状筋はよくわからなくて、代わりに小さなつぶつぶが沢山付いていた。栄養分なのかなとも思うがなんだか分からずじまい。
心臓の先のほうは、それこそ筋肉のような太い組織が目立つが、これもなんだか分からない。
一人でやっていると分からないことばかりだ。
2014.11.15
相も変わらずMWS珪藻プレパラートAMM-01の珪藻たちだが、今描きかけの絵だ。
このプレパラートを観察し始めた頃は、小さいものが多くて絵には無理かなと思っていた。しかし、何が良かったのか、もう5枚目になる。
今回のは纏まったものと離ればなれになったものとの緊張感というものに惹かれたようだ。
そして、白バックに形がだんだんと明らかになってきたとき、何故か、平等院鳳凰堂内壁の純白の漆喰に鮮やかに浮かんだ黒ずんだ木製の天女達を思い出した。
2014.11.10
体内で孵化するハエの生殖器を取り出して色素で染めたものである。
左端の黄色丸印に黒い丸いものが三つある。定かではないが、卵巣二つと交尾器と精子を溜め込むところではないかと思う。
ここから卵を生み出して左側にどんどん送り込むわけだ。
青丸の所ではまだのっぺりしたものだが、緑丸の所では頭に爪が出来ているし、見えにくいが体節毎に細かい毛が生えている。太さはあまり変わらないようだがかなり長くなっている。
そして左下の黒くなっているところが尻の外骨格の一部である。ここから幼虫が出てくるわけだ。そして、前回Bの写真のように頭を持ち上げて寄主に爪でひっかけてすがりつくのだろう。
しかし凄い数であるが、これで全てではないだろう。産み落とすとその分が又追加されるに違いない。交尾しているのを見つけて10分以上見ていたことがあるが、それでも離れなかった。精子を大量に溜め込む必要があるのだろうと思ったものだ。
爪は3分の一ぐらいのところで出来はじめている。意外に早く姿を現すようだ。だが活動のスイッチは体の中では入れられない。どんな仕組みでスイッチオンになるのだろうか。
疑問は次から次に出てくるが、命の仕組みはオドロキの連続だ。
2014.11.05
2日の昼に室内に迷い込んだハエ。やけに元気に飛び回っていたが、捕まえたところ随分くたびれた個体で、左触角と右後脚を失っていたし棘毛も先が折れているものが多かった。
体長1センチぐらいのヤドリバエの1種のようだった。
尻はしっかりカバーされていて雌の様な気もしたが見分けられなかった。
トレペで小部屋を作って観察していたのだが3日になって見たら、なんと子供がでていた。
(Aの赤丸の中)
このハエは卵を体の中で孵す種類だったのだ。寄主の居る場所を探して飛び回っていたのだが閉じ込められて、孵ったものをやむを得ず出したのだろう。
幼虫はBの写真のように壁や床に垂直に立ち頭を振っていた。寄主が来るのを待っているのだろう。20匹ぐらい出てきたが、かわいそうだがこのまま餓死することになる。
2014.10.30
これは古いものだが2年半ばかり前の寄生バチの記録だ。コマユバチの1種だろう。体長0.35センチメートル。長い産卵管でイモムシなんかに卵を産み付けるわけだ。
蜘蛛の巣に捕らわれたものを横取りした。
小さくて、外骨格の柔らかいのは死ぬと形が分からないほど縮んでしまうが、蜘蛛に捕らわれたものは意外に元の形をとどめるようだ。
麻痺させられているのかもしれないし、体液を素早く吸われるせいかもしれない。なぜか大アゴは開いていて口器の様子もよく分かった。
メモは小さくて読めないので大きくして活字化した。当時の勉強ぶりが懐かしい。
上段のSHIMZU40Xは当時持っていた実体顕微鏡で2倍の対物レンズで20倍の接眼レンズを使用した場合の視野を円で描いてある。直径6ミリメートルである。
観察を続けるうちに固定倍率の実体顕微鏡に物足りなくなって、新品は無理なのでネットオークションの中古品でメイジテクノの三眼式ズームに買い換えてしまったが、こんなところにシマズの名を書いていたとは。
2014.10.25
この絵は4月末に手をつけていたものだ。
無論連続していじっていた訳ではなく、間には新作家展のF120があるし、新規に手をつけている二点もある。
途切れ途切れだがそれでも5ヶ月ほどいじっていたわけだ。
ので、描いている時間より眺めている時間が圧倒的に多かったわけだ。
それがどうしたのと云われそうだが、描き始めたときの気持ちと仕上がったときの気持ちの差が凄くあるような気もする。
5ヶ月はあれこれ戸惑う時間で、必要なものだったのかもしれない。
絵ができあがるのは絵を描く本人の力には違いないが、じつは別の力がいろいろ働いて、本人の頭が考えているようにはできあがってこないものだし、ましてや5ヶ月も経つと考えも変わってくるしで、いままでのものとは異なるものができあがったような気もするが、どうだろうか。
2014.10.20
ハチ(膜翅)目コマユバチ科アブラバチの1種らしい。体長0.2センチメートル。
アブラムシの幼虫に寄生してマミーにするというハチだ。アブラムシは非常に多いからこの手のハチも多くなくてはいけない道理だが、あまりにも小さいので気づく人は少ないだろう。
上の図は亡骸のスケッチ。縮こまって生き生きしたものにはならないし、腹部などはますます縮み形をとどめなくなってきて、元の形がわからなくなる。
それで、下図のように部分に分けて細かくスケッチするわけだ。
辛気くさい仕事だが、こういった地味な仕事の積み重ねが、正確で生き生きした昆虫の絵になってくれると信じてやっているわけだ。
2014.10.15
撚翅目スズメバチネジレバネの雄体長0.5センチメートル。
前回の写真では姿がわからないので、図鑑の力も借りて鉛筆で描いてみた。
特殊な生き方のムシで成虫の寿命は数時間しか無いらしいが、巨大な触角で雌のフェロモンを感知してふわりふわりと目的のスズメバチにたどり着いて尻の隙間に寄生している雌とめでたく交尾するわけだ。
御浦風物誌のコガタスズメバチはカマキリの肉団子を作るのに20分以上を掛けていたとのことであったから、のんびり行ってのんびりと尻にすがりつけばいいわけだ。飛び回っている奴に素早く乗り移るなんてことはしなくても良い。というか、この体ではとても出来そうにない。
しかし、雌の在りかまではとにかく飛んでいかなければならない。それで後胸だけを極端に大きくして飛行能力だけは十分にある体にしているし、センサーの触角と複眼も立派だ。
ところがそれ以外は貧弱なもので、腹は精子を作るだけ、脳みそなぞは決められた手順をこなすだけで簡素なつくりになっていると思われる。などとまたしても妄想してしまったのだ。
2014.10.10
御浦風物誌にコガタスズメバチの狩りの記事がでていた。写真を見るとこのハチみたいだった。体長2.5センチメートル。 赤矢印のところが段になっていて不思議だったが、黒いものが見えたのでピンセットでつまみ出したらネジレバネだった。
つまみ出したときは、写真のように翅を広げていなかったし、腹も白くてひとまわり小さい感じだった。
もう二度とお目にかかれないだろう貴重なムシなのに、片方の触角は取り出すときに取れてしまったし、外骨格も柔らかいので無様な形にしてしまったのが残念だ。
ネジレバネはハチやウンカの体内に寄生しているムシだそうだ。ウジ虫状で体液を吸うだけなので寄主の命は奪わない。
雄は蛹のとき腹環節の間に頭を突き出し蛹化しついで羽化するそうなので、その状態で捕まえたようだ。
雌も同じようにして頭を突き出して雄がくるのを首を長くして待っているらしいが、成虫は摂食しないらしく、交尾の期間は僅かで、ほんのひとときの逢う瀬で子孫を残すのだろう。また、大量の卵を産むらしいので生き残る確率はものすごく低いわけだ。まあ、幸せなムシとも思えないなあなどと、余計なことまで感じてしまった。
2014.10.05
ヤモリの干涸らびたものを送ってくれた人がいた。しっぽの先までで5センチくらいか。昆虫を描いているので興味があるだろうと言うことだ。有り難いことである。
描かざる得ないと干涸らびたままをリアルに描くことにした。
描いてみると生体と違って縮こまっているから骨がどうなっているか想像することが出来た。
頭に大きなへこみが3個ある。目の2個は判るが後頭部にあたるところも大穴がある。意外なような気もするし当然のような気もする。また、胴体の高みで脊椎が並んでいるのも感じられた。確かに脊椎動物である。
真剣に見るといろいろ発見があるということか。
2014.09.30
丹沢の西側を道志川は流れる。山間の狭い村だと思っていたら意外に開けたところもあり田んぼもあって色づいていた。
堤防に腰掛けて田を見下ろしながら道沿いの一際目立つ大木をスケッチした。宿はこの右側にある。
松かなと思いながら描いていたが、土地の老人が寄ってきて樅の木を描いてるのと話しかけてきた。たいして話もしないで去っていったが、これだけ目立つのだからいわれもありそうだ。聞けば良かったと今頃になって思うのだ。
2014.09.25
アリを解剖したときに腸の間に弁のようなものがあった。ハエなんかにはこんなものはない。疑問に思っていたがひょんなことで解消した。
ドライブの徒然にラジオを聞いていたら、夏休み子供相談室でハチが餌をどう採るかの話があった。花の蜜をお腹の中に入れて巣まで持ち帰るので、腸の中に弁をもっているんですよとのことだった。
下段はハチの内部の模式図で弁は描いてないが、そ嚢と中腸のあいだにあるらしい。
上はアリの腸を染色した顕微鏡写真だが、アリもハチの仲間なので、同じように飲み込んだ餌はそ嚢に溜め込んで運ぶのだろう。弁もしっかり持っているわけだ
2014.09.20
生物画家川島氏の講演内容を記事にしたものを読んだが、昆虫を描くのに形の観察はもとより幼虫までもたどってその虫の成り立ちを理解して、やっと意味のある線が引けるとのことだ。
この絵で云えば、どう幹や枝を伸ばし葉を茂らせたのかを理解していなければいけないことになる。
そんなことを考えていたら、はるか昔に見たテレビドラマ「コンバット」と思うが茂った木に潜んでいる狙撃手を、枝振りの不自然さを見抜く兵士の指すところを銃撃し狙撃手を倒す場面を思い出した。
小生は写生をするのにそこまで考えたことはないし、木の知識もない。全然平気で描いてきたが、見る人が見れば何の木かも判らないお粗末な絵だと、ひどく恥ずかしい思いがしてきたのだ。
2014.09.15
MWS珪藻プレパラートDL-TESTのフナガタケイソウのなんとか。大きさ90マイクロメートルくらい。
@ABはピントの位置を上面から底面に移動して撮影したもの。上の幅と下の幅は極端に違っているので台形になっているのではないかと思う。
どんな姿をしているのか興味をそそられるものの、今のところはお手上げだ。しかし、Cのように顕微鏡で二本の縦溝と多数の胞紋の並びを見ると何とも言えず美しいなあと見惚れてしまうのだ。
2014.09.10
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリムシ科フトカミキリムシ亜科シロスジカミキリ。体長6センチメートル。6センチもある馬鹿でかいカミキリなので間違いないと思う。
6月24日朝に外流しのバケツの中でジタバタしていたモノ。運の悪い虫だがこちらにとっては見たこともない大物で興奮した。
大きくて肉眼でもおおよその形が判るので顕微鏡に頼らないでスケッチした。いけるかと思ったが細部ははっきりしないので虫眼鏡の助けも借りた。曖昧なところが多々あるのは恥ずかしいがよく見えなくてごまかしたところだ。
モスグリーンに白い模様が入ったムシだが、実体顕微鏡で見ると黒い外骨格にびっしりと毛が生えている。白い模様は下が全く見えないほど白毛が密にある。モスグリーンはそれほど密ではないので下地の黒と混ざり合って不思議な色になっている。肩の黒点は外骨格が豆粒状に盛り上がっているところだ。
昆虫の模様は外骨格に色が付いているように、なんとなく思っているひとが多いと思うが、毛の色だったり透けて内部の色が見えているのもある。おもしろいものである。
2014.09.05
今回は新作家展開催中でもあり忙しかったので手抜きになってしまったが、前回の小さいモノに焦点を当てるとどうなるかを試してみた。
大きなモノが、実に巨大なモノに見えてこないだろうか。
また、小さいモノも同じゾウムシとはいえ、体の分厚さや脚の太さ、口器の曲がり方など随分違う形をしているのも見えてくる。
視点を変えたわけではないが、注目箇所を絞り込んだだけで新たな発見があったのだ。
2014.08.30
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ科のあれこれ。体長0.3〜1.6センチメートル。
体の大きさの違いを見るには横から重ねて見るのがよいのではないかと思う。アリでもしたがここ、ゾウムシで同じように1ミリ格子の上に置いて撮影し合成してみた。
大きさの順に、シロコブゾウムシ、オジロアシナガゾウムシ、コナラシギゾウムシ、コフキゾウムシ、イチゴハナゾウムシ、黒い小さなものは、はてなで判らず。どちらにしても確かさは心許ない。
この中でよく見たのはコフキゾウムシでツガっているのもよく見た。真鶴では一番栄えているゾウムシだろう。
シロコブゾウムシは大きくて目立つが1回しか見なかった。白黒のオジロアシナガゾウムシも目立つが数回といったところ。コナラシギゾウムシはコナラの大木の下で2回見た。
3ミリのイチゴハナゾウムシは庭のバラに来たもので3匹捕まえた。もう一つの3ミリのはたまたま捕まえたもの。この大きさのものは懸命に茂みをみて運良く見つかったものだ。
数えるほどの目撃例しかないのは、生態をしらず探し方が杜撰なのが一番の原因だが、箱根山裾の真鶴と云えど目につくところには昆虫は多くはいないし、蝶々の飛び方を見てもほとんど見ないから子供の頃に比べれば激減しているのは違いがない。
2014.08.25
半翅目異翅亜目カメムシ科のクサギカメムシのようだ。体長1.7センチメートル。
少し前に家の中に飛び込んできたものだ。ズングリとした薄茶色のカメムシで大きさはかなりある。
植物の上でなく家の壁などで見かけることがあるが、樹上性で果樹の害虫との説明を読むと、新たな樹木に移る途中で人家に迷い込んでいる様な気がする。
カメムシはよく見かける。植物食で餌には困らないのだろう、その代わり肉食系に襲われてさんざん喰われてしまうので子供は沢山産んでないと生き残れないわけだが、ちゃんと沢山産んでいるのでどこでも見つけられるということだろう。
2014.08.20
9月2日から都美術館で新作家展が始まる。22日は搬入日である。
珪藻の絵はM60号どまりだったが、今回はF120号と大きくなった分伸び伸びと描けたようだ。
形の正確さにこだわりひたすら写す作業だったが、それはあっさり捨てることにした。代わりに全体の釣り合いと部分が互いに影響し合って一体化することを心がけた。
ガラス板の上の平たい珪藻達が吹き寄せられて、あるものは離ればなれになり、あるものは寄り添いまた重なっている景である。
そこには主役もあれば脇役も居る。しかし、敵対するもの達ではない。皆仲間が戦いに敗れ敗残の身を寄せ合っているのだ。
なんとなくそんな気持ちで描いていた。
2014.08.15
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゴミムシダマシ科の1種だろう。体長0.5センチメートル。
ちょっと見たところではゴミムシの様だったが、後脚の附節が4個だったのでゴミムシダマシだろうと思うわけだが、それから先はさっぱりだ。
落ち着いてみたら頭を黒く描きすぎた。大アゴも濃茶なのに真っ黒くしてしまった。黒っぽい頭がいつの間にか黒の頭と思い込んでしまったに違いない。見るのが疎かになった証拠だ。反省すべし。
このムシは今年の5月に捕まえたものだが、葉っぱの上にいた。このてのムシは地表にいるものとばかり思っていたので妙な気がした。
ハムシとかを捕まえているのだろうか。触角も長いし複眼も巨大だ。
2014.08.10
ハエの脚先がどうなっているか生物顕微鏡10xで見てみた。
先端だけを切り離して水で封入している。泡ができたのはご愛敬である。
切り離すのも難しいし、封入するのも大変だ。やっとこさでここまで来たが、形がはっきりと理解できるにはほど遠い。お粗末なものであるが珍しいものを見て下さいというところだ。
2014.08.05
MWSのJシリーズから、名前もわからないが中心目の1種。大きさ70μm
下段は対物レンズ10xで撮影した暗視野写真で、その中の右側中央にあるものを対物レンズ40xで見たものが上段の写真だ。
胞紋の大きさは中央は有るかなしかで脇は一応穴の開いているのがわかる。これは、暗視野で見ると間隔が細かい開口部ほど青が濃くなるようだから、下段の写真から納得できる。しかし、下段の暗視野では、上に小円、下に大円の梁があって、その間を桁が放射状に渡してあるように見えるが、上段では単なるざるのようにしか見えない。
また、上段の40Xは白色LEDの輪帯照明で撮影しているのだが、なぜ茶と青の色がつくのかのさっぱりわからない。
ピントの移り方ではこの中心目はかなり厚みがあってお椀状のもののようであったことと、はっきりとは見えていない骨組みのせいではないか。と思うもののそれ以上は手も足も出なかったのだ。
2014.07.30
国立科学博物館に展示されているルーシーである。
展示の解説は「エチオピア出土、320万年前、アウストラロピテクス・アファレンシスの成人女性。胸郭は末広がりで、骨盤は幅広い。脚は短いが腕は長く二足歩行だけでなく木登りもうまかった。脳容積は400mlと推定され、石器をつくることはなかったらしい。」となっている。
現生人類ホモ・サピエンスが属するヒト属(ホモ属)の祖先ではないかと考えられているそうだ。本当かどうかしらんが全てのヒトの遺伝子にはルーシーの遺伝子が入っているというわけだ。
中段写真左の骨格がルーシーの復元の元になった骨の化石だ。頭部だけはホンの破片しかないが他の化石から復元したもので補っているようだ。色違いの部分がほとんどだった。
下段の写真は、手前がネアンデルタール人、次いでホモ・エレクトスとルーシー。それを見つめるホモ・サピエンスというわけだ。
この復元がどこまで正しいのか定かではないのだろうが、凄くリアルで迫真的だ。小生が教育を受けていた頃はこんな立体的なものはなかった。あったのは復元図だが、それも迫真的ではなくのどかな感じのものだったような気がする。
人間の物事を突き詰めていく力はものすごいものだと感じさせられる展示だ。
2014.07.25
MWSさんによると、本は理解できるまで読めとのことだが、この図のでていたリチャード・フォーティ著「地球46億年全史」は2回読んで少しは理解が深まったかなと図をコピーしてこの文を書き始めたが????になってしまった。
それで安直に文の一部を書き出してみると
@2億年ほど昔に分裂したパンゲア大陸以前にも超大陸は4回以上存在していることがわかっている。
A古代の超大陸は信用を得て名前も付いた。10億年ほど前の大陸塊はロディニア大陸と呼ばれている。
Bもっとも古い始生代後期の超大陸の真ん中にいると想像してみよう。地球に最初にあらわれた超大陸だ。緑の草木など一本もないごつごつした景色が数千キロメートル先の地平線まで全方向に広がっている。30キロメートルほど先のグラニュライトの山から、いつなんどき鉄砲水が襲ってくるかもしれない。周囲の地面には、荒れ狂う水に運ばれてきた角ばった巨礫が散らばっている。長石が厳しい陽光の下できらきら輝いている。足元でシューシュー湧いている温泉は、美しいオレンジと赤紫の斑点に縁どられている。触れるとぬるぬるしているのはバクテリアが表面を覆っているからだ。
・・・・などであるが
ロディニア時代の東南極大陸やインド、オーストラリアは北半球にあるし、オルドビス紀のゴンドワナ大陸は南極点で凍り付いていたようだ。驚くべき世界である。
2014.07.20
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科オトシブミ科のセアカヒメオトシブミのようだ。あるいは7月10日の前翅が赤く変異したものかもしれない。体長0.5センチメートル。
昆虫を正面から見たことのある人はあまりないと思う。
この絵が感じをだせていると自信はないが、実物はなかなか恐ろしげなものだ。人間並みの大きさでそこらを歩き回られたら人は逃げ惑うばかりだろう。
幸いなことに、外骨格と気門と気管で直接酸素を取り込む体の仕組みは人に比べれば随分小さな体しか持てないらしい。
動物進化の初めの頃の特徴を残し動物界最大の種数を誇る繁栄した昆虫でも人を押しのける力はないわけだ。ということは、後から進化したものが常に覇権を握るということなんだろうか。
とはいえ、覇権を握られたものたちでも、しぶとく生き残るものは生き残るし、覇権を握っても恐竜のように滅びてしまうものもある。
命はおもしろいものである。
鋭い牙の大アゴを出して描きましたが、このムシは普段は出していません。しっかり閉じてほとんど見えません。
2014.07.15
絵はどこまで描けば仕上がりになるのか。
それは、隅々までキチンと絵の具が塗られたときだろう。余白などはとんでもない。
それが一般解と思うが、世を見渡すとそうでないものもいっぱいある。
セザンヌは若いときは重苦しい色の厚塗りだったが、だんだん明るい絵の具を薄く塗るようになっていき、晩年は余白だらけの点々だけというものまである。
この絵を描き始めたときは、しっかり仕上げるつもりだったが何か虚しさが込み上げてきた。
残骸が空しく折り重なっているんだからぐちゃぐちゃでいいじゃないか。
その感じだけで十分だ。
明るい茶系のものだったが、だんだんグレーが浸食してブルーも入ってきた。ここで終わりにするのはどうかとためらいもあるが終わりにしよう。
2014.07.10
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科オトシブミ科のヒメクロオトシブミのようだ。体長0.5センチメートル。
ハムシとかゾウムシの脚とほとんど同じなので、近い仲間に違いない。ブラシのような足先は葉っぱの上をスムーズに歩くのに都合がいいし、葉っぱの端っこを引っかけるのに都合の良さそうな爪も持っている。体も小さいのが多いみたいで葉上生活に適しているムシ達なんだろう。
オトシブミの名前の由来は葉を葉巻みたいに巻いてその中に卵を産みつけて切り落とすが、この落とされたものは江戸時代に他人にばれないようにわざと手紙を道ばたに落として他人に渡した「落とし文」のようだからということらしい。
コロッとした体に細長い首がついているような特徴的な姿と、しゃれた名前の覚えやすいムシだ。
2014.07.05
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科のなんとか。体長0.4センチメートル。
サルハムシの一種みたいだ。
ハムシは金花虫とも書くらしいが、このハムシは金属光沢の鈍い金色でピカピカの華やかなものではないが、金花虫の表示にぴったりだ。
この絵では力不足で金色より茶色に見えてしまうが本物は間違いなく金色です。
小さいせいかもしれないが、元気が良くてせっせせっせと動き回っていた。