MWS放散虫プレパラート特注品J482の一部が今日の画像だ。 絵の素材にするつもりだが未知のものなのでイメージが湧かない。なので、お任せで作って頂いたものだ。 ただ完全な個体より壊れたものに興味があるのと、同額の予算ならより多く入るだろうと思ったので壊れた放散虫でお願いした。 届いたものを初めて見た時はクリスタルの輝きそのもので実に美しく引き込まれてしまった。しかも沢山並べられているので目移りし落ち着いた気持ちで見れない。初見の興奮状態である。 これからじっくり観察するには絵を描くのが一番だ。一番大きい球状のものから始めた。 上面がすっぽり欠けていて、壁面の厚さが分かる断面も2ヶ所ある。底部は右下の図だが丸い穴が不規則に並んでいる。全体にこの調子であいているのだろう。多孔の球体で単純な形態のように思えるが、いざ描いてみると微妙なところが多々ある手強いものだった。
MWS珪藻プレパラートMZK_01(池 )からもうひとつ。ネイディウム(ハネフネケイソウ)だと思うが、片方がちぎれた奴だ。 対物10Xの暗視野ではブルーに光って綺麗なものだが、小惑星にさまよう宇宙船の残骸のようにも自分には見えるのだ。 中段の40Xではネイディウムの形がはっきりしてくる。しかし、ピントの合う範囲は狭い、かけら達はただの濃淡にしか過ぎない。 最下段はネイディウムの中央部であるが、上面の水平がとれていないので片側はピンぼけになる40Xの世界は微妙なものだ。 この壊れたネイディウムにはなぜか惹かれてしまう。中央部は丸く平滑な面になっているのだが、そこに点々と穴があいているのはたまらんなぁ。となるのだ。
MWS珪藻プレパラートMZK_01(池 )は散らしのプレパラートでピンヌラニア(ハネケイソウ)が沢山はいっている。ただし、微少な鉱物の方がもっと多いという変わり種の奴だ。 @は対物レンズが10Xなので、どんな様子なのか分かってもらえると思うのだ。珪藻も鉱物もピントがでているので同じ面にあるように見えるが、実は2枚を合成したものだ。 珪藻は鉱物より上の面にあり、珪藻にピントを持ってくると鉱物はぼけているのだ。 Aは40Xなので珪藻でさえピント位置はシビアになる。ましてや面のずれた鉱物は雲みたいにしか写らないわけだし、Bまでくると珪藻だけを楽しめる。 しかし、@のように石のかけらを掻き分けて数少ない珪藻を探し出すのも、なかなか楽しいものなのだ。
一度発表した絵であるが加筆している最中だ。全体に暗色を薄く塗る。汚れて汚らしくなるが、これから明るくしていくと深みが出てくるし、ニュアンスも豊かになるわけだ。なので、良くなるはずなのだが絵の不思議はそうならないところにある。 もっと描けば良くなるが時間切れだ。などといって発表し、見た人からは、もう少し描けば良かったのになどといわれることが多かった。そんな作品を加筆して、確かに密度は上がったがそれだけのことだった、ちっとも良くならないのである。と痛い思いをしたことが何度もある。 それは、描くモチーフをどれだけ理解し身につけているかが全てなのだということではないかと思う。中途半端な理解しかしていなかったことの報いである。思いが足らないのである。絵って、デッサン力とか基礎の力がないと話にならないが、大事なのは表現への思いで、その思いが全てであるような気がするのだ。 だからこの絵はなんとかよくなってもらいたいのであるが・・・・・
実体顕微鏡の楽しみのひとつが思いもかけない大発見をすることだ。ちと大げさな言い方だか気付いた時はそんな気分なのである。そんな例のひとつがこれだ。ハバチの胸部と腹部の合わせ目の所に半透明の管が通っている。 切れたら死につながるものを露出するなんてあり得ないのではないかと思うのだが、体の上面には血管、下面には神経が通っているのが昆虫なので、どう考えても血管としか思えないのだ。
軍艦模型を再開してから制作記のサイトをよく覗くようになっているのだが、護衛艦いずも制作記で戦艦大和と並べたものを見つけて、いずもって大和と同じぐらいでかいんだと驚いた。 無論巨砲で殴り合いする装甲の厚い鋼鉄の固まりのような大和と、ヘリコプター搭載艦のいずもでは排水量は基準でいずも 19、500トン、大和 64、000トンと大違いではあるのだが。 その記事では「「いずも」のスペックを物の本などで見ていると、海上自衛隊初めての「守ってもらう艦」ではないか?と思う。」「これでは「いずも」が配備された護衛隊群は他の群より苦労が多いのではないか?」とあった。ヘリコプターは沢山詰めて運用も素晴らしいのだろうが自衛の武器がほとんど無いようだ。 護衛艦の整備計画がどのように立案され決定されていくのか知らないが、専守防衛の枠からずれた艦艇なのだろうか、護衛艦隊も普通の艦隊に変貌中なのであろうか、などと妄想が湧き上がってきたのであった。 図は1/700の模型を並べた画像を、船以外を消して輪郭線を加筆したものです。
アカカミキリ、アオカミキリの完成だ。6月7日から13日開催の上野都美術館第71回職美展に出品する。 29回展からの付き合いなので歳を重ねたものだ。若い人の補充が無いので、いまや老人の会になってしまっているが、当時の仲間で今も出している人は多い。皆、頭は白くなったり薄くなったりしているが、お互い顔を合わすと若い時の気分になる。妙な気もするが、いつまでも若いのだと有りがたい気もするのだ。
22日のことだが、琴ヶ浜に赤潮が吹き寄せられていた、上段の写真の右側は波よけの石が積まれていて、ここは浪のない静かな場所なのだが、この写真の前後は浪が直接当たる普通の海岸になっている。波の打ち寄せるところにはなかったが写真左側の汀だけが幅1メートル弱の赤い帯になっていたのだ。 夜になって見に行ったが先客もいたし、あとから来た人もいた。昼間に赤潮を見ていて夜光虫の光を見に来たに違いない。とは言え、なにもしないと海面には光ったものはないので、汀に降りて棒でかき回して見ている。ぱっーと光ってすぐに消えていく。はかないものだ。 長い棒を持っていかなかったので、カメラから離れてかき回し戻って撮影では弱い光しか撮れない。中段のぼやっとした物がやっとだった。 それで、石を投げ込んだのが下の写真だ。 露出は変えていないが綺麗な明るい光になったのが実感できる写真がやっと撮れたのだ。
前回は背側だったが、今回は腹側の彫刻だ。頭部は昔懐かし洗濯板のようだが、ここのところは頭を曲げると胸の中に入っていく。 胸部と腹部は棘毛の根っこが丸く窪んでいて、腹部の方が大きい。どちらも大作りでサッパリしたものだ。
湯河原の千歳川を散歩して町中のケーキ屋でお茶を飲んだ。窓際のカウンターでノンビリと公園で子供達が遊んでいるのを眺めていたのだが、眼をカウンターに落としたら黒点がクローズアップ状態になった。 それが今日のゾウムシだ。体長0.25センチメートル。昆虫好きで無いと気がつかなかっただろう。 こんなチビ助でも金属顕微鏡にかかると複雑な模様を見せてくれる。 上段が上翅の表面、下段が胸部の表面だ。上翅には縦溝が沢山あり、そこにも白い長毛がある。写真ではオレンジががった半透明に見えるが、ここまで拡大したためだ。外骨格の彫刻も場所によって随分違う。何か意味のあることだろうが面白いものだ。
現在進行中の絵2枚だ。F25は803×652ミリメートルの大きさだから、まあまあ大きい。その画面一杯にカミキリの顔面を描いてるのだから変な絵には間違いない。 左は一歩進んでいて、右のように全面塗りつぶしたものを白おこししたところだ。もう一度塗りつぶしと白おこしを繰り返すと暗部の深みがでてくる。それに左は赤、右は青の彩色をして、アカカミキリ、アオカミキリの完成だ。まだまだ先は長い。
MSWのJシリーズから、アラクノイディスクス(クモノスケイソウ)だ。これは円心目を代表する珪藻の王様だろう。大きくてゴージャスな構造だ。 テングサに害をなすらしいが、付いているのが分かった上でよくよく見ると、赤い茎にポチッと黒っぽい点になっているのが見て取れる。珪藻は小さすぎて目視で確認できないのが普通だが、クモノスケイソウはテングサをじっと見ていると発見できるかもしれないという珪藻にしては巨大な種類だ。まあ、ただの点にしか過ぎないのではあるが。
エゾホソルリミズアブと言うものらしい。触覚も入れれば0.8センチメートルぐらいのハエの仲間だ。全体は金属光沢の暗碧色で、胸部が明るく瑠璃色に輝く目だつハエだ。 カブトムシなど大きくてよく識られたものは別にして、ほとんどの昆虫は見る角度で印象が大きく異なるので、このハエの顔面を見せられて 「どんな姿かを思い浮かべよ」と言われても困惑する人ばかりだろう。 下図は上から見たところだが、ハエには珍しくやや長く逆ハの字型に伸ばした触覚を持ち、姿は細長くスマートなものだ。これに、模様のある茶っぽい翅と、特に後脚が太くて長い6本脚がつく。 一見簡単な線画であっという間に描いたのだろうと言われそうだが、これで半日仕事だ。 胸部の翅のつけ根あたりは変化に富んでいて見極めるのが難しいし、それでも描かなくてはいけないし、描いては消しの繰り返しで消しゴムのあとだらけになるわけだ。
MSWのJシリーズから、ディプロネイス(マユケイソウ)だ。 かれこれ十年ほども前になろうか、生物顕微鏡に興味を持ちネットをあれこれ探して、この珪藻がトップにある「珪藻の輝き」を見つけた。タイトル通りの輝きに満ちた美しいものだった。それから生物顕微鏡と珪藻の世界に入りこんだので懐かしい珪藻だ。 ディプロネイスは散らしのプレパラートでも無いことはないが、欠けたり傾いていたりで、この画像のようにはいかないものだ。Jシリーズの有り難いところは何の苦労もなく美しい姿を拝めてしまうことだ。そして、慎重にピント合わせをすると気持ちが晴れ晴れして来るというわけだ。情けないのはお手本の輝きが再現できないのよね。とため息が出るところだ。
MSW本日の画像で、見た目何も見えない低コントラストの検体を画像処理で観察可能にする例が出ていた。感銘を受けたので猿真似したわけだ。 Jシリーズの中心目であるが、元画像でもなんとか胞紋が見えているので、程度の低い猿真似なのだが、この下にもっと小さい中心目があって、胞紋が見えない。これこそ良い例なのだが、胞紋はどうにも見えてこない。見えるのは細かい濃淡ばかりで、これはレンズとかコンデンサとかの汚れかもしれないし、クリアに観察する難しさを思い知らされる結果になったのだ。 MSWてほんとにすごいよね。と言うことだ。
喜多川歌麿の「画本虫撰(えほんむしえらみ)」模写の第二弾だ。 馬追虫 夜夜は馬おひむしのねにぞなく 君に心のはづなのばして 唐衣橘洲(からごろもきっしゅう) むかで ねがはくは君がつばきにとけどけと とけてねぶとの薬ともがな 鹿都辺真顔(しかつめのまがお) 原本に書き込まれた狂歌を省いているので、右の余白は小さくなっているし、寸法をとって模写しているわけでもないので模写もどきである。輪郭線(厳密に言えば歌麿の線をもとにした彫り師の線なのだが)を写していると艶めかしい線だと実感できる。和紙に筆で描く線は素晴らしい。
コハナバチの1種だろうが、0.7センチ位のものを標本化して多数撮影し深度合成したものだ。 ハチの外骨格は丈夫だから原型を留めやすいものの腹部は縮こまってくる。これはあまり縮まなくて、なんとか元の形を想像できる。翅も跳ね上がって始末に困るが、なんとか押さえ込めた。脚もそれらしい形で固定できたし、大アゴを思い切り広げたところは大満足だ。 というわけで、小生にとっては珍しく整形成功のハチ君であったのだ。
このハエは肉眼では、明るい色をした体に白黒の模様がある翅のハエだくらいにしか見えない。それでも、翅を大きくハの字に開いて模様付きなので、「あっミバエだ。」となる。 実体で見たら複眼が緑色だった。体色も明るい黄色でカラフルなハエだが、閉じ込めた小箱の中を歩き回っていて、他のハエのように飛び回ることはなく動きは緩慢だ。柑橘類などに寄生する人間にとっては大害虫だが、獲物を狩るのではないからノンビリした虫に違いない。 カラフルな色合いも死んでしまえば無くなる。これは、複眼表面や外骨格に色はなく内部の器官や体液の影響ではないかと思われたので水浸しにしてみた。 複眼は輝きこそ無いが緑色になった。複眼の極小さい間隔のせいだと思うが、光学の知識が無いのでそう思うだけだ。確かなことではない。
ハエ(双翅)目でも、ハエとカでは体の形状は随分違う。だいぶ前に描いた絵だが脚先の違いが分かる奴を探したのが今回の画像だ。 カの特徴は細長い体に長い脚ではないかと思う。軽やかな体と長い脚で、ちょっとした場所でもそっと止まり歩いたりしない。飛んで離れてはすぐ止まり、飛んで離れてはすぐ止まりの繰り返しだ。 ハエの褥盤にあたるものは1個しかないし、形状もシンプルだ。ハエは爪をあまり使っているようには見えなかったが、カはちょっとした凸凹を爪と中央のブラシを上手に使って止まっているようにも思えるが、どうなのであろうか。
昆虫画の王道は植物と絡み合わせたものだろう。このように描ければ小生も一人前だが、残念なことに小生のオリジナルではなく、喜多川歌麿の「画本虫撰(えほんむしえらみ)」のいち頁を模写したものだ。 蜂 こはごはにとる蜂のすのあなにえや うましをとめをみつのあぢはひ 尻焼猿人(しりやけのさるんど) 毛虫 毛をふいてきずやもとめんさしつけて きみがあたりにはひかかりなば 四方赤良(よもあから) の狂歌が左端に縦書きで書いてある。江戸の爛熟した町人文化であるが、蜂の描写は実によく観察してある。頭、胸、腹の区別、脚は6本、触覚は2本は当たり前としても、前翅と後翅の形の違いも描き分けてあるし、大アゴもしっかり描かれていた。
ハエの脚先は5節の附節からなっているが、その先端は@の画像のように末端附節に爪と褥盤が付いている。 爪は引っかける役割だろうがハエはあまり使っているようには見えなくて、二股に分かれた褥盤を止まりたいところの表面に付けて止まるのがほとんどのようだ。 ひっくり返ろうが、垂直だろうがお構いなしの優れものの仕組みだ。 Aの画像は横から見たところで褥盤は丸まっているが、生きてる時はピンと真っ直ぐになる。なので@の画像で感じる広さよりももっとひろい大きなものだ。 この褥盤は薄い板状のものに多数の細棒が埋め込まれている形になっている。この細棒をさらによく見ると先端が吸盤状になっているようだ。 この先端の形状がどこにでも止まれる秘密だと思っているのだが、説明できる能力もないし、解説したものを見たことがないのでお手上げなのであるが、あらゆるところに付いたり離れたり出来る優れものを持っている昆虫は素晴らしい生き物だと感嘆させられるのだ。
MWS珪藻プレパラートACC_01(南極 )に入っているなんだかわからない珪藻だ。ウェッブカメラで照明も不手際だったようだ。なので、お粗末な画像なのだが気になる珪藻なので紹介したい。 ナビクラ(フナガタケイソウ)の格好をしているのだが中央の縦溝が無いし、でかい穴が互い違いに並んでいるのも初めて見る珪藻だった。ピントをずらすともやもやとした正体不明君になる。南極のプレパラートには沢山入っているのでごく普通のものなのは間違いない。 MWSにお世話になり始めの頃買ったプレパラートで、当時はどんな形か想像も出来なかったが、今ではなんとか思い浮かべられる。とはいっても、確信はないので妄想図だ。
昆虫の口器は正面から見ると大アゴが立派だが、その後ろにごちゃごちゃと付いている。上図はスズメバチ頭部を裏側から見たものだがこれでは何が何だか分からないので整理したのが次の図だ。 小アゴと下唇があって、それぞれに肢が付いている。舌は咽頭が形を変えているようだ。ここから食物が体内に取り込まれると思うがいまいち見切れていない。 ところで、6億年以上前でしょうけど、節足動物の起源は、水底の泥中で体を上下にくねらせて採餌していた多細胞動物らしい。上下に筋肉が付いて、左右に扁平化して突出部を生じ、それが付属肢になり、この付属肢が口器、歩肢、外部生殖器、さらにその他の器官が発達して節足動物の基本形が出来た。なので、大アゴは左右の噛み合わせになっている。 一方、左右にくねらせていたものは左右に筋肉が付き上下に扁平化して脊椎動物になり歯は上下の噛み合わせになったという説を読んだが、はたしてどんなものであろうか。口の噛み合わせが上下と左右の区別があるなぞ考えもしなかったが確かに違っているし、その起源が遙か昔動物の形を採りはじめた頃にあったなどとは夢のある話だと思うのだった。
ハチ(膜翅)目細腰亜目スズメバチ科モンスズメバチのようだ。体長2.5センチメートル。 昨年10月31日に玄関先のシャリンバイに来たのを捕まえたもの。撮影は11月1日だ。 メモと撮影データで以上のことは確かだが、具体的なことはサッパリ記憶の彼方に行ってしまった。 複眼に模様が入っているので完全に死んだのではないだろうけど、脚を曲げているので動けなくなっているのも確かだ。 死にかけというところか。 当時の状況が思い出せないのでムズムズした気分になってしまった。
3月6日から新作家春季展が始まる。その出品作だ。 暗部はたっぷり乾性油を含ませないと時と共に割れてくる。 滴れてくるぐらいの油だったので水平にして一日置いたところだ。 何回も塗り重ねているが、前に塗った部分が油を吸っているのだろう。もう油の光沢が引き始めている。 油絵の具の扱いは無造作にしてもそれなりの絵は出来る。しかしその性質を生かし切った使い方は難しいものなのだ。 乾性油の割合をもっと早く高めるべきだったのが今になって出ているのだ。
甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科ナガゴマフカミキリだろうか。体長2センチメートル。 2014年6月19日の日付でバラバラにして保存したもの。 頭だけの撮影で胴体はなし。触覚の片方は取れているし、いい加減なものだが、前の二つのカミキリの大アゴが閉じていて分かりづらいので、こんな具合になるのですよと言う見本だ。 交通信号でもないが赤青黄色の色違いでもあるし。
甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科カミキリ亜科ゴマフカミキリフトカミキリ亜科ゴマダラカミキリ。体長2.5センチメートル。 この顔つきがカミキリだよね。と言われそうだが、青黒い体に白色の斑をまとったおなじみのゴマフカミキリゴマダラカミキリだ。 5年前に捕まえた個体だが、点刻が見えているのに棘毛がないのがかなりある。草臥れた個体なのかなあ、などと暢気に考えるが綺麗な完全個体を得るには努力が必要だ。散歩の途中で幸運にも見つかったなどという態度では夢の又夢だ。 ところで、幼虫は蜜柑の幹を食い荒らす大害虫だそうだが、それは人間から見たもので、弱ってきた木の寿命を縮めて自然界の物質循環を円滑にしているのだ。とも考えられないだろうか。自然界は持ちつ持たれつなのだから。
甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科カミキリ亜科フトカミキリ亜科ホシベニカミキリか?体長2.5センチメートル。 小生のコレクションではめずらしく大きくて見栄えのするものだ。全身真っ赤(腹は黒いが)で黒班がある。 外骨格は黒で、その上にほとんどが赤い毛で黒い毛も少し生えているというわけだ。 大アゴを開くと少しは迫力のある顔つきになるだろうが、なんともかわいらしい表情をしたカミキリである。 去年の五月に捕まえた虫で、幼虫は楠とかタブノキにつくらしい。捕まえた近くにタブノキがあるからそこから出てきたのかも知れない。
少年時代は軍艦模型を作っていた。木製キットを加工して水に浮かべたりしたものだ。そのうちにプラモデルで1/700の洋上モデルが発売になった。60年ぶりとまでは言えないが特型駆逐艦初雪1680トン、二等駆逐艦樅770トンの二隻を組み立てたのが今日の画像だ。 昭和の帝国海軍は太平洋を渡ってくる米国艦隊と戦艦同士で殴り合いをする艦隊決戦を基本戦略としていた。数で劣っているので駆逐艦の水雷部隊が先行し夜戦の魚雷攻撃による低減作戦で互角の勝負をするため猛訓練に明け暮れたそうだ。 ところが真珠湾の奇襲攻撃であっさり基本戦略を捨て去ってしまった。艦隊決戦はなくなり駆逐艦の本来の出番はなく艦隊や輸送船団の護衛に明け暮れ、ソロモン諸島では輸送船代わりにも使われてしまった。 敵艦に魚雷を一発も撃つことなく航空機の犠牲になった乗組員はどんな思いだったのだろうかと、魚雷発射管を取り付ける時ふと思ったのだった。
ここのところ珪藻の画像を白黒で紹介しているが、実は緑色LEDで検鏡している。なので、MWS珪藻プレパラートASK_01(池)のナビクラを中心としたワンカットだが、こんな具合に見えている。部分縮小しているが、色合いとかコントラストとかの修正は何もしていないオリジナルの画像だ。 池は珪藻にとって居心地がいいのか、大小取り混ぜて種類も多いし、ASK_01は楽しいプレパラートだ。 ところで、このナビクラは条線はメリハリがあるが胞紋を見せてくれない。本家は軽々と見せてくれるのだが分家はいつまでたっても足踏みが続いているものの今回はわずかに手がかりを掴んだのだ。 それが灰色の四角で囲んだところだ。等倍切り出してコントラストをうんとあげてある。ラクビーボールのような形の列が注意深く見ると見えてこないだろうか。
海の珪藻スケレトネマの題名で16回隗展に出品した。2016.12.30に始めた頃の画像を出して、完成しても見た印象はあまり変わらないように思う。と書いたが実際そうなったようだ。 隗展は会員の健康問題で今回で終了となった。初めは東京で開催していたが、船橋市民ギャラリーに変わって長く続いた。真鶴から船橋へ行くのはしんどかったが、得難い連中なので少しも苦にならなかったので終了するのは残念である。とはいえ、人生の仕舞い時が迫っている年代でもあるし、潮時かも知れないと思うことにしたのだ。
好きな珪藻ついでにMWS珪藻プレパラートBKK_02(沼 )からもう一つ、ピンヌラニア(ハネケイソウ)をご紹介しよう。軍艦に例えれば駆逐艦ぐらいで、前々回のナビクラからさらにひとまわり小さい。 ピンヌラニアのなかでも小さくて見栄えも今ひとつとは思うが、中央部に向かって平滑面が広がっていく様に魅力を感じてしまうのだ。地味でも一寸変わったところのあるのが好きみたいだ。 ところで、本家の画像は珪藻が輝いているのだが、小生のは遺憾ながらそうならない。解像度にも差があるし、道半ばにしてなお遠しだ。
スタウロネイス(ジュウジケイソウ)とナビクラ(フナガタケイソウ)は、大艦巨砲時代の戦艦と軽巡洋艦ぐらいの違いはある。写真はスタウロネイスのあるショットに前回載せたナビクラを合成したものだが、これを見てもらうと納得して頂けると思うのだ。 それにしてもスタウロネイスは珪藻の王様ですね。MWSの奥氏はこの珪藻を見てこの世界にのめり込んだと書かれたように記憶しているがむべなるかなである。一方、小生は軽巡洋艦のナビクラの方によりひかれてしまう変な人なのであった。
MWS珪藻プレパラートBKK_02(沼 )に入っているナビクラ(フナガタケイソウ)の1種だ。大きさが0.08ミリメートルくらいで0.2ミリメートルもあるような大型のスタウロネイス(ジュウジケイソウ)に較べると地味な珪藻だがお気に入りの奴だ。 大きさは72から89マイクロメートルの4個を調べたが、条線が10マイクロメートルあたり7本、胞紋が20個が3ヶ、21個が1ヶだった。この細長い形の胞紋が整然と並んでいて初めボーとしているのがピントが合ってくるとだんだん見えてきて、ついにはっきり見分けられると何ともいえず心地良いのだ。 種によって胞紋の間隔は一定だそうだが計測してみると確かにそうなる。単細胞生物が水中のケイ素と酸素を使ってこのような精緻なものを作れるのは不思議なものだが、胞紋の大きさとその周りの珪酸の大きさが一定の設計図があって、それで組み立てられているのだろうなどと想像するのも又楽しである。
MWS珪藻プレパラートBKK_02(沼 )を見ていると@とかAのようなのが少数だが入っている。初めは全く別物と思っていたが、Aが3つに別れて外側が@のような気もしてきたものだ。 調べると、アンフォラ(ニセクチビルケイソウ)の殻面と帯面なのが分かったが、立体の姿が想像出来なかったのでBの赤線で立方体を作って張り付けてみたが益々分からなくなってしまった。 @もAも平面ではなく相当な曲面で出来ているのは確かだが、それ以上は突っ込めなくなってしまったのだ。・・・無念。 Aの条線中央附近に胞紋が見えないが@は見えている。見えないのを探したが見つけられなかった。異なる種かもしれないし、最悪@はクチビルケイソウの可能性もあるので、悩ましいが見当違いでもないのだ。
今年の年賀状に使ったもの。燕文貴の「江山楼観図」の部分模写をした。 燕文貴は北宋前期の宮廷画家。日本で言えば藤原氏全盛の平安時代の人だ。 「江山楼観図」は大阪市立美術館阿部コレクションで高さ31.3センチ長さ160.5センチの右に江水、左に深山を配し、地勢風物の変化を味わう長大な巻物だ。 巻頭の漁村から江に沿い山肌を巡り延々と道が続く、そこには集落があり遠くには楼閣がある。また人が生活し旅をしている。模写した場面は巻末に近い所で、ここにはまだ桟道があるが人はいない。そして、この左は人跡途絶えた深山を流れ落ちる滝と川面で画面は終わる。 千年ほど前の作品なので原本かどうか疑わしいとしても燕文貴の画風を確かめられる貴重なものらしい。 模写は藁色の和紙に薄墨を塗り重ねておこなった。塗り重ねることで、ボーとしたものがだんだん形になってくるのだが、描きながら古雅という言葉が浮かんできた。模写をしていると岩の重々しさや木々の生き生きとした茂り具合、それらを包み込む空間の清清しさが感じられ、このとおりの実景はないかも知れないが、良く自然を観察して、古代人の感じた実景そのものに昇華しているのだろうと思ったのだ。
2017.06.30
MWS放散虫プレパラート特注品J482の一部が今日の画像だ。
絵の素材にするつもりだが未知のものなのでイメージが湧かない。なので、お任せで作って頂いたものだ。
ただ完全な個体より壊れたものに興味があるのと、同額の予算ならより多く入るだろうと思ったので壊れた放散虫でお願いした。
届いたものを初めて見た時はクリスタルの輝きそのもので実に美しく引き込まれてしまった。しかも沢山並べられているので目移りし落ち着いた気持ちで見れない。初見の興奮状態である。
これからじっくり観察するには絵を描くのが一番だ。一番大きい球状のものから始めた。
上面がすっぽり欠けていて、壁面の厚さが分かる断面も2ヶ所ある。底部は右下の図だが丸い穴が不規則に並んでいる。全体にこの調子であいているのだろう。多孔の球体で単純な形態のように思えるが、いざ描いてみると微妙なところが多々ある手強いものだった。
2017.06.25
MWS珪藻プレパラートMZK_01(池 )からもうひとつ。ネイディウム(ハネフネケイソウ)だと思うが、片方がちぎれた奴だ。
対物10Xの暗視野ではブルーに光って綺麗なものだが、小惑星にさまよう宇宙船の残骸のようにも自分には見えるのだ。
中段の40Xではネイディウムの形がはっきりしてくる。しかし、ピントの合う範囲は狭い、かけら達はただの濃淡にしか過ぎない。
最下段はネイディウムの中央部であるが、上面の水平がとれていないので片側はピンぼけになる40Xの世界は微妙なものだ。
この壊れたネイディウムにはなぜか惹かれてしまう。中央部は丸く平滑な面になっているのだが、そこに点々と穴があいているのはたまらんなぁ。となるのだ。
2017.06.20
MWS珪藻プレパラートMZK_01(池 )は散らしのプレパラートでピンヌラニア(ハネケイソウ)が沢山はいっている。ただし、微少な鉱物の方がもっと多いという変わり種の奴だ。
@は対物レンズが10Xなので、どんな様子なのか分かってもらえると思うのだ。珪藻も鉱物もピントがでているので同じ面にあるように見えるが、実は2枚を合成したものだ。
珪藻は鉱物より上の面にあり、珪藻にピントを持ってくると鉱物はぼけているのだ。
Aは40Xなので珪藻でさえピント位置はシビアになる。ましてや面のずれた鉱物は雲みたいにしか写らないわけだし、Bまでくると珪藻だけを楽しめる。
しかし、@のように石のかけらを掻き分けて数少ない珪藻を探し出すのも、なかなか楽しいものなのだ。
2017.06.15
一度発表した絵であるが加筆している最中だ。全体に暗色を薄く塗る。汚れて汚らしくなるが、これから明るくしていくと深みが出てくるし、ニュアンスも豊かになるわけだ。なので、良くなるはずなのだが絵の不思議はそうならないところにある。
もっと描けば良くなるが時間切れだ。などといって発表し、見た人からは、もう少し描けば良かったのになどといわれることが多かった。そんな作品を加筆して、確かに密度は上がったがそれだけのことだった、ちっとも良くならないのである。と痛い思いをしたことが何度もある。
それは、描くモチーフをどれだけ理解し身につけているかが全てなのだということではないかと思う。中途半端な理解しかしていなかったことの報いである。思いが足らないのである。絵って、デッサン力とか基礎の力がないと話にならないが、大事なのは表現への思いで、その思いが全てであるような気がするのだ。
だからこの絵はなんとかよくなってもらいたいのであるが・・・・・
2017.06.10
実体顕微鏡の楽しみのひとつが思いもかけない大発見をすることだ。ちと大げさな言い方だか気付いた時はそんな気分なのである。そんな例のひとつがこれだ。ハバチの胸部と腹部の合わせ目の所に半透明の管が通っている。
切れたら死につながるものを露出するなんてあり得ないのではないかと思うのだが、体の上面には血管、下面には神経が通っているのが昆虫なので、どう考えても血管としか思えないのだ。
2017.06.05
軍艦模型を再開してから制作記のサイトをよく覗くようになっているのだが、護衛艦いずも制作記で戦艦大和と並べたものを見つけて、いずもって大和と同じぐらいでかいんだと驚いた。
無論巨砲で殴り合いする装甲の厚い鋼鉄の固まりのような大和と、ヘリコプター搭載艦のいずもでは排水量は基準でいずも 19、500トン、大和 64、000トンと大違いではあるのだが。
その記事では「「いずも」のスペックを物の本などで見ていると、海上自衛隊初めての「守ってもらう艦」ではないか?と思う。」「これでは「いずも」が配備された護衛隊群は他の群より苦労が多いのではないか?」とあった。ヘリコプターは沢山詰めて運用も素晴らしいのだろうが自衛の武器がほとんど無いようだ。
護衛艦の整備計画がどのように立案され決定されていくのか知らないが、専守防衛の枠からずれた艦艇なのだろうか、護衛艦隊も普通の艦隊に変貌中なのであろうか、などと妄想が湧き上がってきたのであった。
図は1/700の模型を並べた画像を、船以外を消して輪郭線を加筆したものです。
2017.05.30
アカカミキリ、アオカミキリの完成だ。6月7日から13日開催の上野都美術館第71回職美展に出品する。
29回展からの付き合いなので歳を重ねたものだ。若い人の補充が無いので、いまや老人の会になってしまっているが、当時の仲間で今も出している人は多い。皆、頭は白くなったり薄くなったりしているが、お互い顔を合わすと若い時の気分になる。妙な気もするが、いつまでも若いのだと有りがたい気もするのだ。
2017.05.25
22日のことだが、琴ヶ浜に赤潮が吹き寄せられていた、上段の写真の右側は波よけの石が積まれていて、ここは浪のない静かな場所なのだが、この写真の前後は浪が直接当たる普通の海岸になっている。波の打ち寄せるところにはなかったが写真左側の汀だけが幅1メートル弱の赤い帯になっていたのだ。
夜になって見に行ったが先客もいたし、あとから来た人もいた。昼間に赤潮を見ていて夜光虫の光を見に来たに違いない。とは言え、なにもしないと海面には光ったものはないので、汀に降りて棒でかき回して見ている。ぱっーと光ってすぐに消えていく。はかないものだ。
長い棒を持っていかなかったので、カメラから離れてかき回し戻って撮影では弱い光しか撮れない。中段のぼやっとした物がやっとだった。
それで、石を投げ込んだのが下の写真だ。
露出は変えていないが綺麗な明るい光になったのが実感できる写真がやっと撮れたのだ。
2017.05.20
前回は背側だったが、今回は腹側の彫刻だ。頭部は昔懐かし洗濯板のようだが、ここのところは頭を曲げると胸の中に入っていく。
胸部と腹部は棘毛の根っこが丸く窪んでいて、腹部の方が大きい。どちらも大作りでサッパリしたものだ。
2017.05.15
湯河原の千歳川を散歩して町中のケーキ屋でお茶を飲んだ。窓際のカウンターでノンビリと公園で子供達が遊んでいるのを眺めていたのだが、眼をカウンターに落としたら黒点がクローズアップ状態になった。
それが今日のゾウムシだ。体長0.25センチメートル。昆虫好きで無いと気がつかなかっただろう。
こんなチビ助でも金属顕微鏡にかかると複雑な模様を見せてくれる。
上段が上翅の表面、下段が胸部の表面だ。上翅には縦溝が沢山あり、そこにも白い長毛がある。写真ではオレンジががった半透明に見えるが、ここまで拡大したためだ。外骨格の彫刻も場所によって随分違う。何か意味のあることだろうが面白いものだ。
2017.05.10
現在進行中の絵2枚だ。F25は803×652ミリメートルの大きさだから、まあまあ大きい。その画面一杯にカミキリの顔面を描いてるのだから変な絵には間違いない。
左は一歩進んでいて、右のように全面塗りつぶしたものを白おこししたところだ。もう一度塗りつぶしと白おこしを繰り返すと暗部の深みがでてくる。それに左は赤、右は青の彩色をして、アカカミキリ、アオカミキリの完成だ。まだまだ先は長い。
2017.05.05
MSWのJシリーズから、アラクノイディスクス(クモノスケイソウ)だ。これは円心目を代表する珪藻の王様だろう。大きくてゴージャスな構造だ。
テングサに害をなすらしいが、付いているのが分かった上でよくよく見ると、赤い茎にポチッと黒っぽい点になっているのが見て取れる。珪藻は小さすぎて目視で確認できないのが普通だが、クモノスケイソウはテングサをじっと見ていると発見できるかもしれないという珪藻にしては巨大な種類だ。まあ、ただの点にしか過ぎないのではあるが。
2017.04.30
エゾホソルリミズアブと言うものらしい。触覚も入れれば0.8センチメートルぐらいのハエの仲間だ。全体は金属光沢の暗碧色で、胸部が明るく瑠璃色に輝く目だつハエだ。
カブトムシなど大きくてよく識られたものは別にして、ほとんどの昆虫は見る角度で印象が大きく異なるので、このハエの顔面を見せられて 「どんな姿かを思い浮かべよ」と言われても困惑する人ばかりだろう。
下図は上から見たところだが、ハエには珍しくやや長く逆ハの字型に伸ばした触覚を持ち、姿は細長くスマートなものだ。これに、模様のある茶っぽい翅と、特に後脚が太くて長い6本脚がつく。
一見簡単な線画であっという間に描いたのだろうと言われそうだが、これで半日仕事だ。
胸部の翅のつけ根あたりは変化に富んでいて見極めるのが難しいし、それでも描かなくてはいけないし、描いては消しの繰り返しで消しゴムのあとだらけになるわけだ。
2017.04.25
MSWのJシリーズから、ディプロネイス(マユケイソウ)だ。
かれこれ十年ほども前になろうか、生物顕微鏡に興味を持ちネットをあれこれ探して、この珪藻がトップにある「珪藻の輝き」を見つけた。タイトル通りの輝きに満ちた美しいものだった。それから生物顕微鏡と珪藻の世界に入りこんだので懐かしい珪藻だ。
ディプロネイスは散らしのプレパラートでも無いことはないが、欠けたり傾いていたりで、この画像のようにはいかないものだ。Jシリーズの有り難いところは何の苦労もなく美しい姿を拝めてしまうことだ。そして、慎重にピント合わせをすると気持ちが晴れ晴れして来るというわけだ。情けないのはお手本の輝きが再現できないのよね。とため息が出るところだ。
2017.04.20
MSW本日の画像で、見た目何も見えない低コントラストの検体を画像処理で観察可能にする例が出ていた。感銘を受けたので猿真似したわけだ。
Jシリーズの中心目であるが、元画像でもなんとか胞紋が見えているので、程度の低い猿真似なのだが、この下にもっと小さい中心目があって、胞紋が見えない。これこそ良い例なのだが、胞紋はどうにも見えてこない。見えるのは細かい濃淡ばかりで、これはレンズとかコンデンサとかの汚れかもしれないし、クリアに観察する難しさを思い知らされる結果になったのだ。
MSWてほんとにすごいよね。と言うことだ。
2017.04.15
喜多川歌麿の「画本虫撰(えほんむしえらみ)」模写の第二弾だ。
馬追虫 夜夜は馬おひむしのねにぞなく 君に心のはづなのばして 唐衣橘洲(からごろもきっしゅう)
むかで ねがはくは君がつばきにとけどけと とけてねぶとの薬ともがな 鹿都辺真顔(しかつめのまがお)
原本に書き込まれた狂歌を省いているので、右の余白は小さくなっているし、寸法をとって模写しているわけでもないので模写もどきである。輪郭線(厳密に言えば歌麿の線をもとにした彫り師の線なのだが)を写していると艶めかしい線だと実感できる。和紙に筆で描く線は素晴らしい。
2017.04.10
コハナバチの1種だろうが、0.7センチ位のものを標本化して多数撮影し深度合成したものだ。
ハチの外骨格は丈夫だから原型を留めやすいものの腹部は縮こまってくる。これはあまり縮まなくて、なんとか元の形を想像できる。翅も跳ね上がって始末に困るが、なんとか押さえ込めた。脚もそれらしい形で固定できたし、大アゴを思い切り広げたところは大満足だ。
というわけで、小生にとっては珍しく整形成功のハチ君であったのだ。
2017.04.05
このハエは肉眼では、明るい色をした体に白黒の模様がある翅のハエだくらいにしか見えない。それでも、翅を大きくハの字に開いて模様付きなので、「あっミバエだ。」となる。
実体で見たら複眼が緑色だった。体色も明るい黄色でカラフルなハエだが、閉じ込めた小箱の中を歩き回っていて、他のハエのように飛び回ることはなく動きは緩慢だ。柑橘類などに寄生する人間にとっては大害虫だが、獲物を狩るのではないからノンビリした虫に違いない。
カラフルな色合いも死んでしまえば無くなる。これは、複眼表面や外骨格に色はなく内部の器官や体液の影響ではないかと思われたので水浸しにしてみた。
複眼は輝きこそ無いが緑色になった。複眼の極小さい間隔のせいだと思うが、光学の知識が無いのでそう思うだけだ。確かなことではない。
2017.03.30
ハエ(双翅)目でも、ハエとカでは体の形状は随分違う。だいぶ前に描いた絵だが脚先の違いが分かる奴を探したのが今回の画像だ。
カの特徴は細長い体に長い脚ではないかと思う。軽やかな体と長い脚で、ちょっとした場所でもそっと止まり歩いたりしない。飛んで離れてはすぐ止まり、飛んで離れてはすぐ止まりの繰り返しだ。
ハエの褥盤にあたるものは1個しかないし、形状もシンプルだ。ハエは爪をあまり使っているようには見えなかったが、カはちょっとした凸凹を爪と中央のブラシを上手に使って止まっているようにも思えるが、どうなのであろうか。
2017.03.25
昆虫画の王道は植物と絡み合わせたものだろう。このように描ければ小生も一人前だが、残念なことに小生のオリジナルではなく、喜多川歌麿の「画本虫撰(えほんむしえらみ)」のいち頁を模写したものだ。
蜂 こはごはにとる蜂のすのあなにえや うましをとめをみつのあぢはひ 尻焼猿人(しりやけのさるんど)
毛虫 毛をふいてきずやもとめんさしつけて きみがあたりにはひかかりなば 四方赤良(よもあから)
の狂歌が左端に縦書きで書いてある。江戸の爛熟した町人文化であるが、蜂の描写は実によく観察してある。頭、胸、腹の区別、脚は6本、触覚は2本は当たり前としても、前翅と後翅の形の違いも描き分けてあるし、大アゴもしっかり描かれていた。
2017.03.20
ハエの脚先は5節の附節からなっているが、その先端は@の画像のように末端附節に爪と褥盤が付いている。
爪は引っかける役割だろうがハエはあまり使っているようには見えなくて、二股に分かれた褥盤を止まりたいところの表面に付けて止まるのがほとんどのようだ。
ひっくり返ろうが、垂直だろうがお構いなしの優れものの仕組みだ。
Aの画像は横から見たところで褥盤は丸まっているが、生きてる時はピンと真っ直ぐになる。なので@の画像で感じる広さよりももっとひろい大きなものだ。
この褥盤は薄い板状のものに多数の細棒が埋め込まれている形になっている。この細棒をさらによく見ると先端が吸盤状になっているようだ。
この先端の形状がどこにでも止まれる秘密だと思っているのだが、説明できる能力もないし、解説したものを見たことがないのでお手上げなのであるが、あらゆるところに付いたり離れたり出来る優れものを持っている昆虫は素晴らしい生き物だと感嘆させられるのだ。
2017.03.15
MWS珪藻プレパラートACC_01(南極 )に入っているなんだかわからない珪藻だ。ウェッブカメラで照明も不手際だったようだ。なので、お粗末な画像なのだが気になる珪藻なので紹介したい。
ナビクラ(フナガタケイソウ)の格好をしているのだが中央の縦溝が無いし、でかい穴が互い違いに並んでいるのも初めて見る珪藻だった。ピントをずらすともやもやとした正体不明君になる。南極のプレパラートには沢山入っているのでごく普通のものなのは間違いない。
MWSにお世話になり始めの頃買ったプレパラートで、当時はどんな形か想像も出来なかったが、今ではなんとか思い浮かべられる。とはいっても、確信はないので妄想図だ。
2017.03.10
昆虫の口器は正面から見ると大アゴが立派だが、その後ろにごちゃごちゃと付いている。上図はスズメバチ頭部を裏側から見たものだがこれでは何が何だか分からないので整理したのが次の図だ。
小アゴと下唇があって、それぞれに肢が付いている。舌は咽頭が形を変えているようだ。ここから食物が体内に取り込まれると思うがいまいち見切れていない。
ところで、6億年以上前でしょうけど、節足動物の起源は、水底の泥中で体を上下にくねらせて採餌していた多細胞動物らしい。上下に筋肉が付いて、左右に扁平化して突出部を生じ、それが付属肢になり、この付属肢が口器、歩肢、外部生殖器、さらにその他の器官が発達して節足動物の基本形が出来た。なので、大アゴは左右の噛み合わせになっている。
一方、左右にくねらせていたものは左右に筋肉が付き上下に扁平化して脊椎動物になり歯は上下の噛み合わせになったという説を読んだが、はたしてどんなものであろうか。口の噛み合わせが上下と左右の区別があるなぞ考えもしなかったが確かに違っているし、その起源が遙か昔動物の形を採りはじめた頃にあったなどとは夢のある話だと思うのだった。
2017.03.05
ハチ(膜翅)目細腰亜目スズメバチ科モンスズメバチのようだ。体長2.5センチメートル。
昨年10月31日に玄関先のシャリンバイに来たのを捕まえたもの。撮影は11月1日だ。
メモと撮影データで以上のことは確かだが、具体的なことはサッパリ記憶の彼方に行ってしまった。
複眼に模様が入っているので完全に死んだのではないだろうけど、脚を曲げているので動けなくなっているのも確かだ。
死にかけというところか。
当時の状況が思い出せないのでムズムズした気分になってしまった。
2017.03.01
3月6日から新作家春季展が始まる。その出品作だ。
暗部はたっぷり乾性油を含ませないと時と共に割れてくる。
滴れてくるぐらいの油だったので水平にして一日置いたところだ。
何回も塗り重ねているが、前に塗った部分が油を吸っているのだろう。もう油の光沢が引き始めている。
油絵の具の扱いは無造作にしてもそれなりの絵は出来る。しかしその性質を生かし切った使い方は難しいものなのだ。
乾性油の割合をもっと早く高めるべきだったのが今になって出ているのだ。
2017.02.25
甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科フトカミキリ亜科ナガゴマフカミキリだろうか。
体長2センチメートル。
2014年6月19日の日付でバラバラにして保存したもの。
頭だけの撮影で胴体はなし。触覚の片方は取れているし、いい加減なものだが、前の二つのカミキリの大アゴが閉じていて分かりづらいので、こんな具合になるのですよと言う見本だ。
交通信号でもないが赤青黄色の色違いでもあるし。
2017.02.20
甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科カミキリ亜科ゴマフカミキリフトカミキリ亜科ゴマダラカミキリ。体長2.5センチメートル。
この顔つきがカミキリだよね。と言われそうだが、青黒い体に白色の斑をまとったおなじみのゴマフカミキリゴマダラカミキリだ。
5年前に捕まえた個体だが、点刻が見えているのに棘毛がないのがかなりある。草臥れた個体なのかなあ、などと暢気に考えるが綺麗な完全個体を得るには努力が必要だ。散歩の途中で幸運にも見つかったなどという態度では夢の又夢だ。
ところで、幼虫は蜜柑の幹を食い荒らす大害虫だそうだが、それは人間から見たもので、弱ってきた木の寿命を縮めて自然界の物質循環を円滑にしているのだ。とも考えられないだろうか。自然界は持ちつ持たれつなのだから。
2017.02.15
甲虫目(鞘翅類)多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科カミキリムシ科カミキリ亜科フトカミキリ亜科ホシベニカミキリか?体長2.5センチメートル。
小生のコレクションではめずらしく大きくて見栄えのするものだ。全身真っ赤(腹は黒いが)で黒班がある。
外骨格は黒で、その上にほとんどが赤い毛で黒い毛も少し生えているというわけだ。
大アゴを開くと少しは迫力のある顔つきになるだろうが、なんともかわいらしい表情をしたカミキリである。
去年の五月に捕まえた虫で、幼虫は楠とかタブノキにつくらしい。捕まえた近くにタブノキがあるからそこから出てきたのかも知れない。
2017.02.10
少年時代は軍艦模型を作っていた。木製キットを加工して水に浮かべたりしたものだ。そのうちにプラモデルで1/700の洋上モデルが発売になった。60年ぶりとまでは言えないが特型駆逐艦初雪1680トン、二等駆逐艦樅770トンの二隻を組み立てたのが今日の画像だ。
昭和の帝国海軍は太平洋を渡ってくる米国艦隊と戦艦同士で殴り合いをする艦隊決戦を基本戦略としていた。数で劣っているので駆逐艦の水雷部隊が先行し夜戦の魚雷攻撃による低減作戦で互角の勝負をするため猛訓練に明け暮れたそうだ。
ところが真珠湾の奇襲攻撃であっさり基本戦略を捨て去ってしまった。艦隊決戦はなくなり駆逐艦の本来の出番はなく艦隊や輸送船団の護衛に明け暮れ、ソロモン諸島では輸送船代わりにも使われてしまった。
敵艦に魚雷を一発も撃つことなく航空機の犠牲になった乗組員はどんな思いだったのだろうかと、魚雷発射管を取り付ける時ふと思ったのだった。
2017.02.05
ここのところ珪藻の画像を白黒で紹介しているが、実は緑色LEDで検鏡している。なので、MWS珪藻プレパラートASK_01(池)のナビクラを中心としたワンカットだが、こんな具合に見えている。部分縮小しているが、色合いとかコントラストとかの修正は何もしていないオリジナルの画像だ。
池は珪藻にとって居心地がいいのか、大小取り混ぜて種類も多いし、ASK_01は楽しいプレパラートだ。
ところで、このナビクラは条線はメリハリがあるが胞紋を見せてくれない。本家は軽々と見せてくれるのだが分家はいつまでたっても足踏みが続いているものの今回はわずかに手がかりを掴んだのだ。
それが灰色の四角で囲んだところだ。等倍切り出してコントラストをうんとあげてある。ラクビーボールのような形の列が注意深く見ると見えてこないだろうか。
2017.01.30
海の珪藻スケレトネマの題名で16回隗展に出品した。2016.12.30に始めた頃の画像を出して、完成しても見た印象はあまり変わらないように思う。と書いたが実際そうなったようだ。
隗展は会員の健康問題で今回で終了となった。初めは東京で開催していたが、船橋市民ギャラリーに変わって長く続いた。真鶴から船橋へ行くのはしんどかったが、得難い連中なので少しも苦にならなかったので終了するのは残念である。とはいえ、人生の仕舞い時が迫っている年代でもあるし、潮時かも知れないと思うことにしたのだ。
2017.01.25
好きな珪藻ついでにMWS珪藻プレパラートBKK_02(沼 )からもう一つ、ピンヌラニア(ハネケイソウ)をご紹介しよう。軍艦に例えれば駆逐艦ぐらいで、前々回のナビクラからさらにひとまわり小さい。
ピンヌラニアのなかでも小さくて見栄えも今ひとつとは思うが、中央部に向かって平滑面が広がっていく様に魅力を感じてしまうのだ。地味でも一寸変わったところのあるのが好きみたいだ。
ところで、本家の画像は珪藻が輝いているのだが、小生のは遺憾ながらそうならない。解像度にも差があるし、道半ばにしてなお遠しだ。
2017.01.20
スタウロネイス(ジュウジケイソウ)とナビクラ(フナガタケイソウ)は、大艦巨砲時代の戦艦と軽巡洋艦ぐらいの違いはある。写真はスタウロネイスのあるショットに前回載せたナビクラを合成したものだが、これを見てもらうと納得して頂けると思うのだ。
それにしてもスタウロネイスは珪藻の王様ですね。MWSの奥氏はこの珪藻を見てこの世界にのめり込んだと書かれたように記憶しているがむべなるかなである。一方、小生は軽巡洋艦のナビクラの方によりひかれてしまう変な人なのであった。
2017.01.15
MWS珪藻プレパラートBKK_02(沼 )に入っているナビクラ(フナガタケイソウ)の1種だ。大きさが0.08ミリメートルくらいで0.2ミリメートルもあるような大型のスタウロネイス(ジュウジケイソウ)に較べると地味な珪藻だがお気に入りの奴だ。
大きさは72から89マイクロメートルの4個を調べたが、条線が10マイクロメートルあたり7本、胞紋が20個が3ヶ、21個が1ヶだった。この細長い形の胞紋が整然と並んでいて初めボーとしているのがピントが合ってくるとだんだん見えてきて、ついにはっきり見分けられると何ともいえず心地良いのだ。
種によって胞紋の間隔は一定だそうだが計測してみると確かにそうなる。単細胞生物が水中のケイ素と酸素を使ってこのような精緻なものを作れるのは不思議なものだが、胞紋の大きさとその周りの珪酸の大きさが一定の設計図があって、それで組み立てられているのだろうなどと想像するのも又楽しである。
2017.01.10
MWS珪藻プレパラートBKK_02(沼 )を見ていると@とかAのようなのが少数だが入っている。初めは全く別物と思っていたが、Aが3つに別れて外側が@のような気もしてきたものだ。
調べると、アンフォラ(ニセクチビルケイソウ)の殻面と帯面なのが分かったが、立体の姿が想像出来なかったのでBの赤線で立方体を作って張り付けてみたが益々分からなくなってしまった。 @もAも平面ではなく相当な曲面で出来ているのは確かだが、それ以上は突っ込めなくなってしまったのだ。・・・無念。
Aの条線中央附近に胞紋が見えないが@は見えている。見えないのを探したが見つけられなかった。異なる種かもしれないし、最悪@はクチビルケイソウの可能性もあるので、悩ましいが見当違いでもないのだ。
2017.01.05
今年の年賀状に使ったもの。燕文貴の「江山楼観図」の部分模写をした。
燕文貴は北宋前期の宮廷画家。日本で言えば藤原氏全盛の平安時代の人だ。
「江山楼観図」は大阪市立美術館阿部コレクションで高さ31.3センチ長さ160.5センチの右に江水、左に深山を配し、地勢風物の変化を味わう長大な巻物だ。
巻頭の漁村から江に沿い山肌を巡り延々と道が続く、そこには集落があり遠くには楼閣がある。また人が生活し旅をしている。模写した場面は巻末に近い所で、ここにはまだ桟道があるが人はいない。そして、この左は人跡途絶えた深山を流れ落ちる滝と川面で画面は終わる。
千年ほど前の作品なので原本かどうか疑わしいとしても燕文貴の画風を確かめられる貴重なものらしい。
模写は藁色の和紙に薄墨を塗り重ねておこなった。塗り重ねることで、ボーとしたものがだんだん形になってくるのだが、描きながら古雅という言葉が浮かんできた。模写をしていると岩の重々しさや木々の生き生きとした茂り具合、それらを包み込む空間の清清しさが感じられ、このとおりの実景はないかも知れないが、良く自然を観察して、古代人の感じた実景そのものに昇華しているのだろうと思ったのだ。