これもヒメコバチの一種だと思うが体長0.7センチメートルで前回のよりよほど大きい。 翅の結合具合を確かめるために確認しやすい大きさのものを調べたわけだ。 結果は丸印の後翅の前縁に、6 7本のフックが付いていて、前翅の丸印のところは縁を折り曲げてフックがかかるようになっていた。 前回のものも改めて金属顕微鏡で子細に見たところ、しっかりとフックはありました。ただ数は少なくて2本のみでした。まあ小さいぶんだけ力もかからないし余計なことはしないということだろう。 実体顕微鏡もしっかりしたものを使っているが、0.2センチメートルのヒメコバチのフックを見つけられなかったように微細構造を見分けるにはいまいち不満が残る。アポクロマートの対物ズームで100倍ぐらい拡大できる超高級実体顕微鏡が欲しくなってきた。
前回のヒメコバチを標本画風に描いてみた。 このハチが小さいのは翅に翅脈がないので分かる。 骨で補強しなくても十分な強度があるほど小さいというわけだ。 ハチの翅は後翅の前縁にフックがついていて前翅の後縁に引っかけて一体化するようになっている。それで前後がぴったりついて、あたかも1枚のように振る舞うらしい。 ところが、このハチはよく見てもフックになっていなかった。 フックが伸びて普通の刺毛になったのか、なくても不都合がないのか謎である。
金属光沢のムシもいろいろいるなあと感心させられる。 このハチは体長0.2センチメートルでやっと眼に入る大きさだ。 注意して探すので見つかるが、見つけてもただの黒い点でしかない。 ところが拡大すると光り輝く上に立派な彫刻まで持っていたというわけだ。 ヒメコバチのEntedon属というらしいがネットでは電子顕微鏡写真なども出てきた。 興味を持っている人たちが結構いるということだろう。 何とも言えない美しさをもっていると見惚れてしまったのだ。 CombineZPで合成
今日は去年の10月25日にも取り上げたディプロネイスの仲間である。 顕微鏡で撮った写真は凹凸の沢山ある賑やかなものだが、表面は案外にさっぱりしているようであるので、上の絵のように想像してみた。もちろん真偽のほどは定かではないが、そんなに間違っていないとも思う。 とはいえ、生きているときはこんなものではない。殻はガラスみたいなものだから透明だし、中身の葉緑体が茶黄色に透けて見えるし核とかの他の有機物もある。 中央にたて溝がある種類は羽状目といって胞紋から粘液をだして水草の根元や石などにくっついて暮らしているらしい。 そして、たて溝の内側に筋肉の代わりにタンパク質の繊維が並んでいて、また、たて溝から粘液を出してレール代わりにしてタンパク質の繊維を収縮させて滑るように移動するとのことである。 水中を浮遊するのがフランクトンで、底で生活するのはペントスというらしいので、珪藻は植物プランクトンだと思っていたが、実は羽状目はプランクトンではなくてベントスが本当なのだろう。
画像の珪藻は去年の11月10日にも取り上げたがDL-TESTにあるディプロネイスの仲間である。 当時はあっさりした胞紋だと思っていたが、「本日の画像」にどう見てもこの珪藻の部分と思われる画像があって、「珪藻には思わぬ細かい微細構造があるのをお忘れなきように。」というのがあって、大きな丸の中に小さな丸がいくつもある画像が載っていた。 それでNA=0.95のアポクロマート40Xで見えるか挑戦してみた。 結果は下段の画像のとおりで、「鮮やかに見える。」にはほど遠いものの、間違いなく細かい胞紋が見て取れた。 細かい構造が見えるようになると珪藻プレパラートの楽しみは増えるとのことであったが、たしかにここまで見れたと興奮してきたのだった。
BS放送で放送大学が見れるのに気付いた。45分で15回が一講座である。 絵の人物は「自然を理解するために」第8回「化学の世界」濱田嘉昭教授である。 水について述べられていた。 地球と生物にとって水はいかに大事な役割をはたしているか。それが、水の温まりにくくて冷めにくいことや、氷は水に浮くことなどの性質によっていることなどが解説された。 そして、なぜそういう性質があるのかは化学の力で分かるというわけだ。 水分子は酸素1ヶと水素2ヶから出来ているが、酸素のところが−、水素のところが+の電荷に偏った状態になるそうだ。そして+と−は引き合うので水分子は「水素結合」でくっつき合って、びっしりと詰まったままどんどん組み合わせを変えると液体の水になり、六角形の形にがっちり固まると固体の氷になるそうだ。固体は液体に比べるとがっちりしているが隙間だらけで密度は低いというわけだ。 氷が水より重いと大変だ。一度凍った氷はすぐに海底に沈んでしまう。つぎからつぎに沈み込んでついには海は凍り付いてしまう。氷が水に浮くという性質のおかげで生物のいる地球がある。ということを昔読んで印象に残ったが、今になってそのわけがやっと分かったというわけだ。 ところで、この先生はとぼけた先生だった。講義の終わりにコップを取り出して、この中の18mLの水は6×10の23乗個の水分子がある。宇宙の星の数とほぼ同じだ。といって、のどが渇いたので飲ましてもらいますとぐっとミニ宇宙を飲み込んで終わりにしたのだった。
9月の新作家展は昨年に引き続きツタに覆われた樹木を描こう。 この場所は県道沿いの放置された杉林で、箱根の斜面を横切るように道路があるが、斜面を削って道路を造るのではなく、盛り土をして道路ができているので、下側斜面の歩道の手摺りの下は擁壁になっている。まるで展望台から見るようにこの林を見るわけだ。 ここは随分描いてきた。蔓に絡まれた、あるいは木蔦の葉に覆われた一本の杉に集中したものは、複雑に絡みあったつるや覆い尽くされた葉っぱの1枚1枚がはっきり分かるので評判がよかったものだ。 今度のものは、葉に覆い尽くされたものの間から蔓に絡め取られようとしている木立を覗き見るような場面だ。 これを100号2枚に分けて描き始めたが、この場所を描くのもこれで終わりになると思う。デテールと構成がマッチした集大成のような作品になることを祈るばかりである。
ハエといえば不潔な害虫のイメージだろう。ズングリした体にハの字に広げた翅でうるさく飛び回っている。小汚い色をした目障りなムシと言うわけだ。 写真のハエはアシナガバエの仲間らしいが0.3センチほどのごく小さいムシで玄関のカラーの葉にいたのを捕まえた。 脚が長くて細長い腹部のスマートな体つきで、金属光沢が美しいのがアシナガバエの特徴みたいだが、このハエは、体つきはズングリしていてハエそのものだし、脚も短い。胸と腹の金属光沢もいまいち鈍くて美しいとはいいがたい。しかし、複眼は鮮やかな緑である。 ハエとアシナガバエの特徴を合わせ持つので、アシナガバエの仲間としては進化の初めにいたのかしらんなどと空想するのは楽しいものだ。
@のキンベラはDL-TESTをアポクロマート40Xで撮影したが、大きさは190μm×50μmでかなり大きい珪藻だ。Aはその中心部の詳細で、溝の幅は1μm程度である。この溝の縁にわずかに黒く細い点々が見えたが、これが開口部に違いないと思った。 これを裏付けるようなMWS「本日の画像」5月14日は仰天ものの画像だった。Cはそれを模写したものだが、細いうねうねとした切り込みが刻まれている。小生の技術ではぼんやりとしていたものが明確な形を表したわけだ。 しかし、Cの画像は不思議だ。生物顕微鏡で透明な珪藻を撮影しても電子顕微鏡みたいに表面をきれいに写せない。影がでて内部が見えてしまうのである。ところがCはどうみても表面だけが写されている。照明法だけではなく画像処理も併用しているような気もするが信じがたい画像である。 それはともかく、キンベラ(クチビルケイソウ)は付着性の珪藻だそうだ。これもMWSの模写だがBのように足を出して群体で生活しているそうだ。激しい水の流れにも会うだろう。丈夫な殻が必要とみえて、Dの絵のように厚い殻に溝を掘り薄くなったところにCのくねくね模様でスリットを刻むわけだ。 つまり、あっさりしたCを裏返すと複雑なDになるわけで、軽く頑丈な殻ができて、かつ外界ともスムーズに連絡できる優れもので身を包むというわけだ。
3月20日掲載のスタウロネイスを撮り直したもの。 オリンパスBH2を3眼鏡筒にしてカメラもソニーのミラーレス機を求め本格的な顕微鏡撮影が出来るようになった。 張り切って撮ったものを3月20日にのせたが期待していたほどの出来でなく、実のところがっくりきていたのだった。 変な写りは見るべき人が見れば原因はすぐ分かるのだろうMWSから鏡筒長があっていないのではないかとの助言をいただいた。 頂いたデータを見るとネットオークションで求めたアタッチメントの長さの倍ほどは必要のようだった。 改善した結果が今回の画像だ。天と地の違いがある。独力では解決できなかったろう。危ないところだった。 MWS様々である。
普段見るアリは翅はないのであっさりした胸部に見える。しかし、雄アリは翅を持っているせいか分かれ目も多く、かつ単純な線でもなく複雑な胸部だった。 昆虫の祖先は足の多い節足動物だそうだが、腹部の脚は退化して無くなり、前部は口器の大アゴや小アゴ肢などに変化して、胸部の6本のみが残ったのだそうだ。翅は外骨格が変化したものらしい。 ハチやアリの膜翅目はさらに腹部第1節が前伸腹節として胸部に合体し、アリはその上に腹ネというくびれを持っている。意味があることだろうが想像も付かないのは残念だ。
珪藻の絵はしぶとく描き続けている。 思想を固めろと言われても出来ない注文だが、若い頃から現代美術はすきだった。 あこがれていたのだろう。いまそれが猿まねの状態で出てきたに違いない。 大それた願いで、出来もしないことをやっていると、ひんしゅくをかっても人畜無害で人様に迷惑をかけるものではない。・・・などと考えてあきらめないでやっているわけだ。 絵は不思議なもので、全体が汚れたような色で描かれていても妙手にかかると、ハッとさせられる輝きを持っている。 この絵の場合は、平滑な面に珪藻たちが輝いて浮き上がっている状態になれば、多少なりとも見栄えがするに違いないと、思想の追求はともかくとして時間をかけて形の追求をしているわけだが、ちっとも進んでいかない。家の者に変わって無いじゃないのなどと言われてしまった。
玄関先のカラーの葉にとまっていた、頭の先から尻まで0.5センチメートルの小さなムシ。 薄茶色の細長い地味なムシ。 しかし、よくよく見ると面妖なムシだった。 翅は4枚でハエではない。上翅は柔らかいので甲虫ではない。独立した前胸部でハチではない。 口器は咀嚼式でセミやカメムシでもない。 カゲロウの仲間かなとも思ったが見た印象はかなり違うし、目も分からずじまい。 なんにせよ、不完全変態から完全変態に変わった頃のムシではないかと思うのだ。
オドリバエの一種だと思う。 体長0.7センチメートル。 ハエとは言え機敏さは無いようだ。異様に長い後脚、尻の交尾器も目立つ大きさだし面妖なハエである。 口器はグンと突き出ているが、この頃は驚かなくなった。頭が小さくて収納式では収まりきれないし、脚が長いのにあわせて伸ばしたのだろうなどと考えられるようになったからだ。
花が咲くとミツバチがやってくる。 飛んでいるのは捕まえられないが、花に頭を突っ込んだところを捕まえるわけだ。 花粉を集めるのに忙しくて円筒形のプラケースをかぶせられても気がつかない。フタをするのに花が邪魔になるくらいで難なく捕まえられる。 上のハチは0.9センチメートルで下は0.5センチメートルなので一回り違う。最下段の写真のとおりである。 大きさが違うが形はよく似ていた。 図鑑を見るとこのハチはミツバチかも怪しくなってきた上に同じ種の大きさ違いか、あるいは別な種かと新たな疑問まで出来てしまった。
甲虫(鞘翅目)目コメツキムシ科ハナコメツキ亜科コハナコメツキらしいが、コメツキムシは日本だけで約600種あるらしいのであてにはならない。体長0.5センチメートル。ただ、普通見かけるのに比べるとズングリしているし、頭部の出方が少し多いような気がするので変わり種だろう。 小生の壁紙は川島逸郎氏の叩頭蟲 ここ (コメツキムシのこと)である。なにげに毎日見ているわけだ。初めは上品でキリッとしたものだと眺めていたが、あるとき、左右完璧な対称図形であることに気づいた。つまり観察している個体を追求しているのではなく、そのムシの標準形を追求していたのだ。標準形は均整がとれているので、人間で言えば美男美女を描いていることになるのだろう。そのムシの細部と全体を余すことなく把握し描き表しているすごい技量だと改めて感心した。 小生にはとても出来ない技で、正確に描こうとしてもどうしても歪んでしまう。それをはっきり自覚させられた。しかし、よくよく考えてみれば、その歪みの中に私の個性が出ているのかもしれない。
ユスリカをグリセリンで封入して一時プレパラートを作ってみた。 不思議なことに外骨格が透明になり内部が見えてきた。 ユスリカは緑や橙の色が付いていて華やかなものだが、見えているのは内部の色で外骨格はほとんど色が無く、グリセリンと同様な光の屈折率を持っているのかもしれない。 昆虫の呼吸は胸部の2対と腹部の体節毎にある気門を出入り口にして全身に張り巡らされた気管でおこなっていると、いろいろなところに解説してある。 しかし、その他に気嚢という袋があるようだ。アワアワになっているところがそうに違いない。気管も見えているのは空気が残っている場所でグリセリンが入ったところはほとんど見えない。気門、気嚢、気管のつながりを一生懸命に見たが全く分からないで終わった。気管の全体像を明らかにするのは難しいわけだ。また、新鮮空気と汚れた空気をどう入れ替えるのか解説してあるのは見つからないし、謎は深まるばかりだ。
昨日の雨の後で爽やかな晴天になった。昆虫も元気よく出てきている。 玄関先の植え込みにカラーがおおきな葉を広げている。この上のシャリンバイにアブラムシがいて密を落とす。この密とアブラムシそのものを目当てとして昆虫がやってくるようだ。 隣家のフキにもいろいろな昆虫がやってくる。 その2カ所で、朝方と昼過ぎにちょこちょこと捕まえた左の絵の5匹が今日の成果だ。 上の2匹がコマユバチの仲間。 次が、上からでは頭が全く見えない円柱のようなコガネムシ キクイムシの仲間と、後脚が巨大でぴょんぴょん跳ねるハムシの仲間。 最下段がコメツキの仲間でこれが一番大きいが0.8センチメートルしかない。 肉眼ではこれだけが、かろうじて昆虫らしいが、他のものは0.2から0.4センチメートルでごく小さいものである。 小さい昆虫は初めは全く眼に入らなかったが、この頃では、この小さいものたちに興味をひかれている。 生物世界の主役は幅をきかせている大きなものではなく、圧倒的な数の微生物たちで、昆虫も小さい連中がものすごくいるのではないかという気がしてきた。
知人が出品しているので、新美術館の日本アンデパンダン展にいってきた。 見ていくうちにだんだん気持ちが重くなってきた。3.11関連の作品が多かったからである。 もう2年が過ぎたというのに、津波の復旧は遅遅として進まず、福島原発は使用済み燃料の取り出しさえ出来ず、増え続ける汚染水の仮設タンクが敷地いっぱいになってしまった。 そんな作品群の中に、マーシャル諸島のエニウェトク環礁につくられた核実験による穴ぼこと、核汚染された機器や除染した表土などを埋めこんだコンクリートのルニットドームを取り上げたものがあった。 巨大で薄べったいコンクリートドームは何とも言いようのない存在感があった。しかももう余所事ではない。 今の世はグーグルアースでどんなものか確認できる。巨大な環礁を拡大しながら見ていくと、整然と植えられた椰子林に飛行場と学校、住宅が点在している人のいる島のずっと北側に絵のようになっているのがあったのだ。
去年の10月30日に横から見たものを出したが今回は正面からだ。ハエ(双翅)目のオオハナアブらしいが体長1.5センチメートルあるので、まあまあ昆虫らしい大きさである。 ハエの仲間は複眼が大きい。特に雄は上部がぴったり付くようなのでますます大きい。 飛翔能力が高いのと併せて視認力もひときわ高くなるので、餌やら雌やらを見つけ出しやすいのだろうか。 ゴミも付くのだろうか手入れをよくしている。前脚を持ち上げて頭を素早く、くるくる回しながら表面をなでているのを見るのは楽しいものだ。
MWS珪藻プレパラートDL-TESTにあるスタウロネイスの全体像と部分切り出しである。 大きさは250マイクロメートルなのでかなり大きい種類だ。 対物レンズはニコンの補正環付きアポクロマート40Xの高級品である。新品だと目玉の飛び出る高価な品物でもネットオークション品は何とか買えたが、どんどん顕微鏡沼に引き込まれていくようだ。
ハエもいろいろだ。派手なものもいれば地味なのもいる。 なんでもそうだと思うが、絵を描くのも思うようにはならないものだ。それで苦しくなってくるとついつい家の周りで昆虫採集をしてしまう。 昆虫の生活で長いのは幼虫時代ではないのだろうか。成虫時代は短かくて子作りに専念しているのではないか。子作りを効率よくするには一斉に羽化して配偶者を簡単に見つけるのが一番だ。 短時間のうちに、羽化仕立てのような腹ペチャのハエを3匹捕まえて1匹逃げられた。残った2匹をよくよくみるとつがいだった。それで、こんなことを考えたわけだ。
ハエもちらほら現れてきた。 0.5センチほどの大きさなので茶色っぽい小バエだな、ぐらいで捕まえるが複眼が美しいものいる。 立体写真は専用のカメラ以外だと、しばらくじっとしてもらわないといけないが、複眼の色ものこりながら動けなくなったので普通のカメラで撮れたというわけだ。
珪藻の絵は隗展に出品したが不本意な出来だった。皆の反応も悪かった。当然だ。 実物の光り輝いている様子はとても表現できないと腰が引けてしまっていた。気弱な心が正直に出てしまったのだと思う。 なんとしてでも表現するんだという強い気持ちが無くてはいけない。と覚悟をして全面を薄いグレーで塗りつぶした。とはいえ、厚く塗るのではないから形が消えるわけではない。ここからホワイトで明るいところを描き起こしていくわけだ。デリケートさが命の絵である。気が緩むと粗放になってしまうので神経を使うしんどい作業が続く。無論これで終わりではない。この上に暗色でグラッシュをして落ち着きを出し、また、影を強める作業が待っている。しかも、その繰り返しが必要になるかもしれないのだ。 考えるのはよそう、とにかく進んでいくだけだ。
まだまだ寒いが、日当たりがよくて風がなければなかなか暖かい。そんな日にごくごく小さい虫たちが現れてくるのに気づいた。 日の当たっている家の外壁を探すと、このムシがいた。体長0.2センチメートルでほとんど点であるがめざとく見つけられるようになっているのだ。 脚の細長いのはカのようだが、口器は吸収式ではあるが針状ではないのでカではない。触角が長くて数珠のようなのでガガンボでもない。無論ハエやアブではない。 この正体不明くんは、鮮やかなオレンジの体に巨大な平均棍を持っているので双翅目だが、この手の小さな双翅目は水の中にいるのでないかという気がしてきた。幼虫時代を家の排水管で過ごし、暖かくなると羽化して家の周りにいるというわけだ。あたっているだろうか。
アブムシはめでたく成虫になった。葉っぱを一枚入れてあげただけだが、しっかりと口吻を突き刺して吸汁している。これから羽ばたいて新天地でせっせと子供を産むわけだ。 性があって受精しないと生殖はできないような気でいたが、生物界は単細胞では細胞分裂して増えるし、多細胞でも単為生殖はたくさんあるのだそうだ。そして、配偶者の必要のあるなしでは倍々で増え方の差がでるので、世代を重ねると猛烈な差になるのだそうだ。 アブラムシの場合は、単為生殖をくりかえしてどんどん子孫をつくるが、これを餌にするものも多い。植物食のものが多くいてもらわないと動物食のものたちは困惑するということなのであろう。そして、わずかに生き延びたものたちが有性生殖をして新しい遺伝子の卵を産んで子孫をつなげていくわけだ。 アブラムシが群れをなしてたかっている草を見たときは、ただただ気持ち悪いだけであったが、昆虫に親しむようになって、肉食の大型で立派な昆虫たちはこのようなものがいないと存在できないのに気づかされた。食物連鎖の言葉だけは識っていたが、身近なところで激しく行われていたのだ。
@はトビコバチとかヒメコバチとかいうのだろうが、名前は全くお手上げな膜翅(ハチ)目の全身写真。 体長0.2cmでほとんど点であるが、カラフルでなおかつ外骨格の表面は複雑な凹凸模様で刻まれていた。 A-1は胸部を上から撮ったもの。 A-2はA-1の中央部の拡大。 B-1は腹部を上から撮ったもの。 B-2はB-1の中央部の拡大。 写真では見えていないが、多数の棘毛がある。 自然は意味なく形を作ることはしないと思うが、この小さい体にこれだけの細工をしたのにはどんな意味があるのだろう。
この時期は葉の裏を探すと何か見つかるようなので見てみると、アブラムシがいた。葉ごと持ってきて、スケッチをしていたらごそごそと動き始めた。少し移動して静止したがどうも様子が変である。背中が割れているようにも見える。 そのうち頭が前に出てきた。なんと脱皮を始めていたのである。 2、30分ではないかと思うが全身を現したので、なにが変わったかとよく見たが、体長はあまり変わらないようだ。腹部は横に広がって翅があるのがはっきりした。触角はずいぶん長くなった。脚も長くなったようである。 有翅のアブラムシだが、まだ成虫ではない。もう一回脱皮するのだろう。 というわけで、スケッチは途中でおしまい。最後の画像は深度合成したがアブラムシくんは微妙に体をゆらしているので怪しげなものになったのだ。
甲虫(鞘翅目)目ゾウムシ科モンアシブトゾウムシというらしい。体長0.3センチメートル。 ここのところ暖かい日が続いたので、昆虫もわずかながら見られた。家の外壁に点がついていたので確かめるとゾウムシらしい。容器がなかったのでハンケチに移した。幸いに飛びたたなかったのでスケッチ出来たわけだ。 ゾウムシの脚は棍棒みたいだが、こいつの前脚はとりわけ太く、しかも、棘がでて非常に目立つ。この特徴で調べやすいとだろうと、ネットの「日本産ゾウムシデータベース」で調べてそれらしいものを見つけたのだ。
立体写真はおもしろくて熱が入った。正面から写すと迫力があるとハエを試みた。撮影枚数が少ないせいか、滑らかな背面が凸凹になったのはご愛敬である。 立体写真は乾燥したものを撮影したが、下段は生きているときのものである。同じ個体かと疑われるほど違っているが、赤銅色と緑色に輝く複眼が美しかった。 ハエの名前は全くお手上げだが、体長0.6センチほどの小バエで、蛹などに寄生するヤドリバエの一種ではないかと思う。
ミツバチの一種だと思うが体長一センチメートル程度の昆虫らしいハチである。 同じようなものを4カットも載せてなんだと思わないでもらいたい。 昆虫の全身にヒントをあわせて写真なんかはまず撮れないが、全身を克明に写しているサイトがあった。 ここ CombineZP使用の記載があり数十枚を深度合成していた。その上に立体写真まで登場したのには驚かされた。 驚きついでに、また猿まねをしたというわけだ。 小生のは300万画素程度の10枚程度を合成しているので甘い像であるが、処理時間は吃驚するぐらい早かった。 立体写真は視線を交差させる交差法と平行にしてみる法と二種類あるらしいが、上段は交差法で右目で見た像を左側にしてあり右目で左側の像を見ると。下段は左右を入れ替えたので右目で右側の像をみるとキチンと見えるわけだ。 小生はどうしても交差法になるようで、上段はちゃんとした立体になるが、下段は頭が引っ込んで見える。 目は疲れるが昆虫の立体写真を手軽に作れるとはデジタル恐るべしである。
ゾウムシをシコシコと姿勢を変えて2枚描いていたが、今日はそれを使ってパソコン上で合成してみた。 2匹の配置と大きさの関係に気を遣ったが、デジタルは試行錯誤が画面上でつぎつぎと表れるので苦労はない。また、それだけでは能がないので背景をグラデーションで色づけした。 元データは電子情報化していたものの、フォトショップエレメントで20分ばかりの仕事だった。しかし、これを1枚の画面で紙でやるとなると面倒な仕事だ。配置と大きさを決めて描き始めたら最後になって、しまったとなっても取り返しはつかない。グラデーションも図柄をマスキングしてブラッシングするような面倒な作業だろうが、このテクニックを持ち合わせていないので小生には出来ない。がデジタルでは簡単に見栄えよくできた。こんなに簡単でいいのだろうかと思わないでもない。げにデジタルは恐ろしい。
クモノスケイソウの構造を想像してみたがこの珪藻の入っているプレパラートE-M1は2枚持っている。 このプレパラートは教育用とかで極めて安価に設定されている。その代わり封入材を厚めにして作りやすくしてあるそうだ。 2枚目のE-M1には、小さい珪藻だと斜めになっているものが見える。クモノスケイソウは大型だから破片で斜めのものを探したらあった。Bがそれである。さらに、カバーグラスからはみ出た封入材のなかにクモノスケイソウが立っているのがあった。教育用ならではの現象であるが、はみ出ているのはよく見るものの、ここまで立っているのには吃驚である。これで、想像はそう間違ってないのは分かった。 これから先きは電子顕微鏡写真である。ネットで「Arachnoidiscus」で検索するといくつか出てきた。一様な形ではなくいろいろ種類がある中に不正確な写しだがAのように放射状の梁に小さな横桁があるものを見つけた。ただ、上下2枚ではなく一体化し、側面にも胞紋が見て取れた。長年の疑問解決ですっきりしたのだ。
珪藻の観察を始めた頃、写真@とAは同じものか違うものか悩んだものだ。 しかも、@のピントをずらしていくと写真Bになる。 生きた実物を採集してばらしてみれば一目瞭然ではあるが、大きさは0.2ミリ程度のものである。 とても無理とあっさりあきらめていたが、その後経験を積んだので想像してみるに、表面のリブ付き穴あき板にクモノス状の格子板で裏打ちをしているらしい。 @は二枚重なったものでごちゃごちゃしているが、Aは表面の一枚だけなのですっきりしているというわけだ。 単細胞の生き物であるが、少ない材料で大きな強度を獲得するという賢いことをしているわけだ。
今描いている珪藻の絵はここまできたが、部分をお目にかける。 絵は全体を見るものだと思うが部分を注目しても絵として成り立つのがいい絵だと思う。 これを見て絵になっているではないかとなれば、そう変な絵では無いかとも思う。 とは言え、この珪藻の散らばりはMWSの奥氏の力量で出来たものである。 珪藻の量を制限して撒けば重なりのごく少ないものが出来るはずであるし、実際、一つの珪藻をキチンと撮影したい人は申し出てもらえればそのようにするとの注記がある。 だとすれば奥氏も珪藻を群れとして見るのに価値を認めて工夫を凝らしているものと思われる。 その上澄みを掬っているので大事なところは人任せであるものの、見えるように描くのは並大抵ではなく四苦八苦しているのだ。
2013.06.30
これもヒメコバチの一種だと思うが体長0.7センチメートルで前回のよりよほど大きい。
翅の結合具合を確かめるために確認しやすい大きさのものを調べたわけだ。
結果は丸印の後翅の前縁に、6 7本のフックが付いていて、前翅の丸印のところは縁を折り曲げてフックがかかるようになっていた。
前回のものも改めて金属顕微鏡で子細に見たところ、しっかりとフックはありました。ただ数は少なくて2本のみでした。まあ小さいぶんだけ力もかからないし余計なことはしないということだろう。
実体顕微鏡もしっかりしたものを使っているが、0.2センチメートルのヒメコバチのフックを見つけられなかったように微細構造を見分けるにはいまいち不満が残る。アポクロマートの対物ズームで100倍ぐらい拡大できる超高級実体顕微鏡が欲しくなってきた。
2013.06.25
前回のヒメコバチを標本画風に描いてみた。
このハチが小さいのは翅に翅脈がないので分かる。
骨で補強しなくても十分な強度があるほど小さいというわけだ。
ハチの翅は後翅の前縁にフックがついていて前翅の後縁に引っかけて一体化するようになっている。それで前後がぴったりついて、あたかも1枚のように振る舞うらしい。
ところが、このハチはよく見てもフックになっていなかった。
フックが伸びて普通の刺毛になったのか、なくても不都合がないのか謎である。
2013.06.20
金属光沢のムシもいろいろいるなあと感心させられる。
このハチは体長0.2センチメートルでやっと眼に入る大きさだ。
注意して探すので見つかるが、見つけてもただの黒い点でしかない。
ところが拡大すると光り輝く上に立派な彫刻まで持っていたというわけだ。
ヒメコバチのEntedon属というらしいがネットでは電子顕微鏡写真なども出てきた。
興味を持っている人たちが結構いるということだろう。
何とも言えない美しさをもっていると見惚れてしまったのだ。
CombineZPで合成
2013.06.15
今日は去年の10月25日にも取り上げたディプロネイスの仲間である。
顕微鏡で撮った写真は凹凸の沢山ある賑やかなものだが、表面は案外にさっぱりしているようであるので、上の絵のように想像してみた。もちろん真偽のほどは定かではないが、そんなに間違っていないとも思う。
とはいえ、生きているときはこんなものではない。殻はガラスみたいなものだから透明だし、中身の葉緑体が茶黄色に透けて見えるし核とかの他の有機物もある。
中央にたて溝がある種類は羽状目といって胞紋から粘液をだして水草の根元や石などにくっついて暮らしているらしい。
そして、たて溝の内側に筋肉の代わりにタンパク質の繊維が並んでいて、また、たて溝から粘液を出してレール代わりにしてタンパク質の繊維を収縮させて滑るように移動するとのことである。
水中を浮遊するのがフランクトンで、底で生活するのはペントスというらしいので、珪藻は植物プランクトンだと思っていたが、実は羽状目はプランクトンではなくてベントスが本当なのだろう。
2013.06.10
画像の珪藻は去年の11月10日にも取り上げたがDL-TESTにあるディプロネイスの仲間である。
当時はあっさりした胞紋だと思っていたが、「本日の画像」にどう見てもこの珪藻の部分と思われる画像があって、「珪藻には思わぬ細かい微細構造があるのをお忘れなきように。」というのがあって、大きな丸の中に小さな丸がいくつもある画像が載っていた。
それでNA=0.95のアポクロマート40Xで見えるか挑戦してみた。
結果は下段の画像のとおりで、「鮮やかに見える。」にはほど遠いものの、間違いなく細かい胞紋が見て取れた。
細かい構造が見えるようになると珪藻プレパラートの楽しみは増えるとのことであったが、たしかにここまで見れたと興奮してきたのだった。
2013.06.05
BS放送で放送大学が見れるのに気付いた。45分で15回が一講座である。
絵の人物は「自然を理解するために」第8回「化学の世界」濱田嘉昭教授である。
水について述べられていた。
地球と生物にとって水はいかに大事な役割をはたしているか。それが、水の温まりにくくて冷めにくいことや、氷は水に浮くことなどの性質によっていることなどが解説された。
そして、なぜそういう性質があるのかは化学の力で分かるというわけだ。
水分子は酸素1ヶと水素2ヶから出来ているが、酸素のところが−、水素のところが+の電荷に偏った状態になるそうだ。そして+と−は引き合うので水分子は「水素結合」でくっつき合って、びっしりと詰まったままどんどん組み合わせを変えると液体の水になり、六角形の形にがっちり固まると固体の氷になるそうだ。固体は液体に比べるとがっちりしているが隙間だらけで密度は低いというわけだ。
氷が水より重いと大変だ。一度凍った氷はすぐに海底に沈んでしまう。つぎからつぎに沈み込んでついには海は凍り付いてしまう。氷が水に浮くという性質のおかげで生物のいる地球がある。ということを昔読んで印象に残ったが、今になってそのわけがやっと分かったというわけだ。
ところで、この先生はとぼけた先生だった。講義の終わりにコップを取り出して、この中の18mLの水は6×10の23乗個の水分子がある。宇宙の星の数とほぼ同じだ。といって、のどが渇いたので飲ましてもらいますとぐっとミニ宇宙を飲み込んで終わりにしたのだった。
2013.05.30
9月の新作家展は昨年に引き続きツタに覆われた樹木を描こう。
この場所は県道沿いの放置された杉林で、箱根の斜面を横切るように道路があるが、斜面を削って道路を造るのではなく、盛り土をして道路ができているので、下側斜面の歩道の手摺りの下は擁壁になっている。まるで展望台から見るようにこの林を見るわけだ。
ここは随分描いてきた。蔓に絡まれた、あるいは木蔦の葉に覆われた一本の杉に集中したものは、複雑に絡みあったつるや覆い尽くされた葉っぱの1枚1枚がはっきり分かるので評判がよかったものだ。
今度のものは、葉に覆い尽くされたものの間から蔓に絡め取られようとしている木立を覗き見るような場面だ。
これを100号2枚に分けて描き始めたが、この場所を描くのもこれで終わりになると思う。デテールと構成がマッチした集大成のような作品になることを祈るばかりである。
2013.05.25
ハエといえば不潔な害虫のイメージだろう。ズングリした体にハの字に広げた翅でうるさく飛び回っている。小汚い色をした目障りなムシと言うわけだ。
写真のハエはアシナガバエの仲間らしいが0.3センチほどのごく小さいムシで玄関のカラーの葉にいたのを捕まえた。
脚が長くて細長い腹部のスマートな体つきで、金属光沢が美しいのがアシナガバエの特徴みたいだが、このハエは、体つきはズングリしていてハエそのものだし、脚も短い。胸と腹の金属光沢もいまいち鈍くて美しいとはいいがたい。しかし、複眼は鮮やかな緑である。
ハエとアシナガバエの特徴を合わせ持つので、アシナガバエの仲間としては進化の初めにいたのかしらんなどと空想するのは楽しいものだ。
2013.05.20
@のキンベラはDL-TESTをアポクロマート40Xで撮影したが、大きさは190μm×50μmでかなり大きい珪藻だ。Aはその中心部の詳細で、溝の幅は1μm程度である。この溝の縁にわずかに黒く細い点々が見えたが、これが開口部に違いないと思った。
これを裏付けるようなMWS「本日の画像」5月14日は仰天ものの画像だった。Cはそれを模写したものだが、細いうねうねとした切り込みが刻まれている。小生の技術ではぼんやりとしていたものが明確な形を表したわけだ。
しかし、Cの画像は不思議だ。生物顕微鏡で透明な珪藻を撮影しても電子顕微鏡みたいに表面をきれいに写せない。影がでて内部が見えてしまうのである。ところがCはどうみても表面だけが写されている。照明法だけではなく画像処理も併用しているような気もするが信じがたい画像である。
それはともかく、キンベラ(クチビルケイソウ)は付着性の珪藻だそうだ。これもMWSの模写だがBのように足を出して群体で生活しているそうだ。激しい水の流れにも会うだろう。丈夫な殻が必要とみえて、Dの絵のように厚い殻に溝を掘り薄くなったところにCのくねくね模様でスリットを刻むわけだ。
つまり、あっさりしたCを裏返すと複雑なDになるわけで、軽く頑丈な殻ができて、かつ外界ともスムーズに連絡できる優れもので身を包むというわけだ。
2013.05.15
3月20日掲載のスタウロネイスを撮り直したもの。
オリンパスBH2を3眼鏡筒にしてカメラもソニーのミラーレス機を求め本格的な顕微鏡撮影が出来るようになった。
張り切って撮ったものを3月20日にのせたが期待していたほどの出来でなく、実のところがっくりきていたのだった。
変な写りは見るべき人が見れば原因はすぐ分かるのだろうMWSから鏡筒長があっていないのではないかとの助言をいただいた。
頂いたデータを見るとネットオークションで求めたアタッチメントの長さの倍ほどは必要のようだった。
改善した結果が今回の画像だ。天と地の違いがある。独力では解決できなかったろう。危ないところだった。
MWS様々である。
2013.05.10
普段見るアリは翅はないのであっさりした胸部に見える。しかし、雄アリは翅を持っているせいか分かれ目も多く、かつ単純な線でもなく複雑な胸部だった。
昆虫の祖先は足の多い節足動物だそうだが、腹部の脚は退化して無くなり、前部は口器の大アゴや小アゴ肢などに変化して、胸部の6本のみが残ったのだそうだ。翅は外骨格が変化したものらしい。
ハチやアリの膜翅目はさらに腹部第1節が前伸腹節として胸部に合体し、アリはその上に腹ネというくびれを持っている。意味があることだろうが想像も付かないのは残念だ。
2013.05.05
珪藻の絵はしぶとく描き続けている。
思想を固めろと言われても出来ない注文だが、若い頃から現代美術はすきだった。
あこがれていたのだろう。いまそれが猿まねの状態で出てきたに違いない。
大それた願いで、出来もしないことをやっていると、ひんしゅくをかっても人畜無害で人様に迷惑をかけるものではない。・・・などと考えてあきらめないでやっているわけだ。
絵は不思議なもので、全体が汚れたような色で描かれていても妙手にかかると、ハッとさせられる輝きを持っている。
この絵の場合は、平滑な面に珪藻たちが輝いて浮き上がっている状態になれば、多少なりとも見栄えがするに違いないと、思想の追求はともかくとして時間をかけて形の追求をしているわけだが、ちっとも進んでいかない。家の者に変わって無いじゃないのなどと言われてしまった。
2013.04.30
玄関先のカラーの葉にとまっていた、頭の先から尻まで0.5センチメートルの小さなムシ。
薄茶色の細長い地味なムシ。
しかし、よくよく見ると面妖なムシだった。
翅は4枚でハエではない。上翅は柔らかいので甲虫ではない。独立した前胸部でハチではない。
口器は咀嚼式でセミやカメムシでもない。
カゲロウの仲間かなとも思ったが見た印象はかなり違うし、目も分からずじまい。
なんにせよ、不完全変態から完全変態に変わった頃のムシではないかと思うのだ。
2013.04.25
オドリバエの一種だと思う。 体長0.7センチメートル。
ハエとは言え機敏さは無いようだ。異様に長い後脚、尻の交尾器も目立つ大きさだし面妖なハエである。
口器はグンと突き出ているが、この頃は驚かなくなった。頭が小さくて収納式では収まりきれないし、脚が長いのにあわせて伸ばしたのだろうなどと考えられるようになったからだ。
2013.04.20
花が咲くとミツバチがやってくる。
飛んでいるのは捕まえられないが、花に頭を突っ込んだところを捕まえるわけだ。
花粉を集めるのに忙しくて円筒形のプラケースをかぶせられても気がつかない。フタをするのに花が邪魔になるくらいで難なく捕まえられる。
上のハチは0.9センチメートルで下は0.5センチメートルなので一回り違う。最下段の写真のとおりである。
大きさが違うが形はよく似ていた。
図鑑を見るとこのハチはミツバチかも怪しくなってきた上に同じ種の大きさ違いか、あるいは別な種かと新たな疑問まで出来てしまった。
2013.04.15
甲虫(鞘翅目)目コメツキムシ科ハナコメツキ亜科コハナコメツキらしいが、コメツキムシは日本だけで約600種あるらしいのであてにはならない。体長0.5センチメートル。ただ、普通見かけるのに比べるとズングリしているし、頭部の出方が少し多いような気がするので変わり種だろう。
小生の壁紙は川島逸郎氏の叩頭蟲 ここ (コメツキムシのこと)である。なにげに毎日見ているわけだ。初めは上品でキリッとしたものだと眺めていたが、あるとき、左右完璧な対称図形であることに気づいた。つまり観察している個体を追求しているのではなく、そのムシの標準形を追求していたのだ。標準形は均整がとれているので、人間で言えば美男美女を描いていることになるのだろう。そのムシの細部と全体を余すことなく把握し描き表しているすごい技量だと改めて感心した。
小生にはとても出来ない技で、正確に描こうとしてもどうしても歪んでしまう。それをはっきり自覚させられた。しかし、よくよく考えてみれば、その歪みの中に私の個性が出ているのかもしれない。
2013.04.10
ユスリカをグリセリンで封入して一時プレパラートを作ってみた。
不思議なことに外骨格が透明になり内部が見えてきた。
ユスリカは緑や橙の色が付いていて華やかなものだが、見えているのは内部の色で外骨格はほとんど色が無く、グリセリンと同様な光の屈折率を持っているのかもしれない。
昆虫の呼吸は胸部の2対と腹部の体節毎にある気門を出入り口にして全身に張り巡らされた気管でおこなっていると、いろいろなところに解説してある。
しかし、その他に気嚢という袋があるようだ。アワアワになっているところがそうに違いない。気管も見えているのは空気が残っている場所でグリセリンが入ったところはほとんど見えない。気門、気嚢、気管のつながりを一生懸命に見たが全く分からないで終わった。気管の全体像を明らかにするのは難しいわけだ。また、新鮮空気と汚れた空気をどう入れ替えるのか解説してあるのは見つからないし、謎は深まるばかりだ。
2013.04.05
昨日の雨の後で爽やかな晴天になった。昆虫も元気よく出てきている。
玄関先の植え込みにカラーがおおきな葉を広げている。この上のシャリンバイにアブラムシがいて密を落とす。この密とアブラムシそのものを目当てとして昆虫がやってくるようだ。
隣家のフキにもいろいろな昆虫がやってくる。
その2カ所で、朝方と昼過ぎにちょこちょこと捕まえた左の絵の5匹が今日の成果だ。
上の2匹がコマユバチの仲間。
次が、上からでは頭が全く見えない円柱のようなコガネムシ キクイムシの仲間と、後脚が巨大でぴょんぴょん跳ねるハムシの仲間。
最下段がコメツキの仲間でこれが一番大きいが0.8センチメートルしかない。
肉眼ではこれだけが、かろうじて昆虫らしいが、他のものは0.2から0.4センチメートルでごく小さいものである。
小さい昆虫は初めは全く眼に入らなかったが、この頃では、この小さいものたちに興味をひかれている。
生物世界の主役は幅をきかせている大きなものではなく、圧倒的な数の微生物たちで、昆虫も小さい連中がものすごくいるのではないかという気がしてきた。
2013.03.30
知人が出品しているので、新美術館の日本アンデパンダン展にいってきた。
見ていくうちにだんだん気持ちが重くなってきた。3.11関連の作品が多かったからである。
もう2年が過ぎたというのに、津波の復旧は遅遅として進まず、福島原発は使用済み燃料の取り出しさえ出来ず、増え続ける汚染水の仮設タンクが敷地いっぱいになってしまった。
そんな作品群の中に、マーシャル諸島のエニウェトク環礁につくられた核実験による穴ぼこと、核汚染された機器や除染した表土などを埋めこんだコンクリートのルニットドームを取り上げたものがあった。
巨大で薄べったいコンクリートドームは何とも言いようのない存在感があった。しかももう余所事ではない。
今の世はグーグルアースでどんなものか確認できる。巨大な環礁を拡大しながら見ていくと、整然と植えられた椰子林に飛行場と学校、住宅が点在している人のいる島のずっと北側に絵のようになっているのがあったのだ。
2013.03.25
去年の10月30日に横から見たものを出したが今回は正面からだ。ハエ(双翅)目のオオハナアブらしいが体長1.5センチメートルあるので、まあまあ昆虫らしい大きさである。
ハエの仲間は複眼が大きい。特に雄は上部がぴったり付くようなのでますます大きい。
飛翔能力が高いのと併せて視認力もひときわ高くなるので、餌やら雌やらを見つけ出しやすいのだろうか。
ゴミも付くのだろうか手入れをよくしている。前脚を持ち上げて頭を素早く、くるくる回しながら表面をなでているのを見るのは楽しいものだ。
2013.03.20
MWS珪藻プレパラートDL-TESTにあるスタウロネイスの全体像と部分切り出しである。
大きさは250マイクロメートルなのでかなり大きい種類だ。
対物レンズはニコンの補正環付きアポクロマート40Xの高級品である。新品だと目玉の飛び出る高価な品物でもネットオークション品は何とか買えたが、どんどん顕微鏡沼に引き込まれていくようだ。
2013.03.10
ハエもいろいろだ。派手なものもいれば地味なのもいる。
なんでもそうだと思うが、絵を描くのも思うようにはならないものだ。それで苦しくなってくるとついつい家の周りで昆虫採集をしてしまう。
昆虫の生活で長いのは幼虫時代ではないのだろうか。成虫時代は短かくて子作りに専念しているのではないか。子作りを効率よくするには一斉に羽化して配偶者を簡単に見つけるのが一番だ。
短時間のうちに、羽化仕立てのような腹ペチャのハエを3匹捕まえて1匹逃げられた。残った2匹をよくよくみるとつがいだった。それで、こんなことを考えたわけだ。
2013.03.05
ハエもちらほら現れてきた。
0.5センチほどの大きさなので茶色っぽい小バエだな、ぐらいで捕まえるが複眼が美しいものいる。
立体写真は専用のカメラ以外だと、しばらくじっとしてもらわないといけないが、複眼の色ものこりながら動けなくなったので普通のカメラで撮れたというわけだ。
2013.03.02
珪藻の絵は隗展に出品したが不本意な出来だった。皆の反応も悪かった。当然だ。
実物の光り輝いている様子はとても表現できないと腰が引けてしまっていた。気弱な心が正直に出てしまったのだと思う。
なんとしてでも表現するんだという強い気持ちが無くてはいけない。と覚悟をして全面を薄いグレーで塗りつぶした。とはいえ、厚く塗るのではないから形が消えるわけではない。ここからホワイトで明るいところを描き起こしていくわけだ。
デリケートさが命の絵である。気が緩むと粗放になってしまうので神経を使うしんどい作業が続く。無論これで終わりではない。この上に暗色でグラッシュをして落ち着きを出し、また、影を強める作業が待っている。しかも、その繰り返しが必要になるかもしれないのだ。
考えるのはよそう、とにかく進んでいくだけだ。
2013.02.25
まだまだ寒いが、日当たりがよくて風がなければなかなか暖かい。そんな日にごくごく小さい虫たちが現れてくるのに気づいた。
日の当たっている家の外壁を探すと、このムシがいた。体長0.2センチメートルでほとんど点であるがめざとく見つけられるようになっているのだ。
脚の細長いのはカのようだが、口器は吸収式ではあるが針状ではないのでカではない。触角が長くて数珠のようなのでガガンボでもない。無論ハエやアブではない。
この正体不明くんは、鮮やかなオレンジの体に巨大な平均棍を持っているので双翅目だが、この手の小さな双翅目は水の中にいるのでないかという気がしてきた。幼虫時代を家の排水管で過ごし、暖かくなると羽化して家の周りにいるというわけだ。あたっているだろうか。
2013.02.20
アブムシはめでたく成虫になった。葉っぱを一枚入れてあげただけだが、しっかりと口吻を突き刺して吸汁している。これから羽ばたいて新天地でせっせと子供を産むわけだ。
性があって受精しないと生殖はできないような気でいたが、生物界は単細胞では細胞分裂して増えるし、多細胞でも単為生殖はたくさんあるのだそうだ。そして、配偶者の必要のあるなしでは倍々で増え方の差がでるので、世代を重ねると猛烈な差になるのだそうだ。
アブラムシの場合は、単為生殖をくりかえしてどんどん子孫をつくるが、これを餌にするものも多い。植物食のものが多くいてもらわないと動物食のものたちは困惑するということなのであろう。そして、わずかに生き延びたものたちが有性生殖をして新しい遺伝子の卵を産んで子孫をつなげていくわけだ。
アブラムシが群れをなしてたかっている草を見たときは、ただただ気持ち悪いだけであったが、昆虫に親しむようになって、肉食の大型で立派な昆虫たちはこのようなものがいないと存在できないのに気づかされた。食物連鎖の言葉だけは識っていたが、身近なところで激しく行われていたのだ。
2013.02.15
@はトビコバチとかヒメコバチとかいうのだろうが、名前は全くお手上げな膜翅(ハチ)目の全身写真。
体長0.2cmでほとんど点であるが、カラフルでなおかつ外骨格の表面は複雑な凹凸模様で刻まれていた。
A-1は胸部を上から撮ったもの。
A-2はA-1の中央部の拡大。
B-1は腹部を上から撮ったもの。
B-2はB-1の中央部の拡大。
写真では見えていないが、多数の棘毛がある。
自然は意味なく形を作ることはしないと思うが、この小さい体にこれだけの細工をしたのにはどんな意味があるのだろう。
2013.02.10
この時期は葉の裏を探すと何か見つかるようなので見てみると、アブラムシがいた。葉ごと持ってきて、スケッチをしていたらごそごそと動き始めた。少し移動して静止したがどうも様子が変である。背中が割れているようにも見える。
そのうち頭が前に出てきた。なんと脱皮を始めていたのである。
2、30分ではないかと思うが全身を現したので、なにが変わったかとよく見たが、体長はあまり変わらないようだ。腹部は横に広がって翅があるのがはっきりした。触角はずいぶん長くなった。脚も長くなったようである。
有翅のアブラムシだが、まだ成虫ではない。もう一回脱皮するのだろう。
というわけで、スケッチは途中でおしまい。最後の画像は深度合成したがアブラムシくんは微妙に体をゆらしているので怪しげなものになったのだ。
2013.02.05
甲虫(鞘翅目)目ゾウムシ科モンアシブトゾウムシというらしい。体長0.3センチメートル。
ここのところ暖かい日が続いたので、昆虫もわずかながら見られた。家の外壁に点がついていたので確かめるとゾウムシらしい。容器がなかったのでハンケチに移した。幸いに飛びたたなかったのでスケッチ出来たわけだ。
ゾウムシの脚は棍棒みたいだが、こいつの前脚はとりわけ太く、しかも、棘がでて非常に目立つ。この特徴で調べやすいとだろうと、ネットの「日本産ゾウムシデータベース」で調べてそれらしいものを見つけたのだ。
2013.01.30
立体写真はおもしろくて熱が入った。正面から写すと迫力があるとハエを試みた。撮影枚数が少ないせいか、滑らかな背面が凸凹になったのはご愛敬である。
立体写真は乾燥したものを撮影したが、下段は生きているときのものである。同じ個体かと疑われるほど違っているが、赤銅色と緑色に輝く複眼が美しかった。
ハエの名前は全くお手上げだが、体長0.6センチほどの小バエで、蛹などに寄生するヤドリバエの一種ではないかと思う。
2013.01.25
ミツバチの一種だと思うが体長一センチメートル程度の昆虫らしいハチである。
同じようなものを4カットも載せてなんだと思わないでもらいたい。
昆虫の全身にヒントをあわせて写真なんかはまず撮れないが、全身を克明に写しているサイトがあった。 ここ CombineZP使用の記載があり数十枚を深度合成していた。その上に立体写真まで登場したのには驚かされた。
驚きついでに、また猿まねをしたというわけだ。 小生のは300万画素程度の10枚程度を合成しているので甘い像であるが、処理時間は吃驚するぐらい早かった。
立体写真は視線を交差させる交差法と平行にしてみる法と二種類あるらしいが、上段は交差法で右目で見た像を左側にしてあり右目で左側の像を見ると。下段は左右を入れ替えたので右目で右側の像をみるとキチンと見えるわけだ。 小生はどうしても交差法になるようで、上段はちゃんとした立体になるが、下段は頭が引っ込んで見える。
目は疲れるが昆虫の立体写真を手軽に作れるとはデジタル恐るべしである。
2013.01.20
ゾウムシをシコシコと姿勢を変えて2枚描いていたが、今日はそれを使ってパソコン上で合成してみた。
2匹の配置と大きさの関係に気を遣ったが、デジタルは試行錯誤が画面上でつぎつぎと表れるので苦労はない。また、それだけでは能がないので背景をグラデーションで色づけした。
元データは電子情報化していたものの、フォトショップエレメントで20分ばかりの仕事だった。しかし、これを1枚の画面で紙でやるとなると面倒な仕事だ。配置と大きさを決めて描き始めたら最後になって、しまったとなっても取り返しはつかない。グラデーションも図柄をマスキングしてブラッシングするような面倒な作業だろうが、このテクニックを持ち合わせていないので小生には出来ない。がデジタルでは簡単に見栄えよくできた。こんなに簡単でいいのだろうかと思わないでもない。げにデジタルは恐ろしい。
2013.01.15
クモノスケイソウの構造を想像してみたがこの珪藻の入っているプレパラートE-M1は2枚持っている。
このプレパラートは教育用とかで極めて安価に設定されている。その代わり封入材を厚めにして作りやすくしてあるそうだ。
2枚目のE-M1には、小さい珪藻だと斜めになっているものが見える。クモノスケイソウは大型だから破片で斜めのものを探したらあった。Bがそれである。さらに、カバーグラスからはみ出た封入材のなかにクモノスケイソウが立っているのがあった。教育用ならではの現象であるが、はみ出ているのはよく見るものの、ここまで立っているのには吃驚である。これで、想像はそう間違ってないのは分かった。
これから先きは電子顕微鏡写真である。ネットで「Arachnoidiscus」で検索するといくつか出てきた。一様な形ではなくいろいろ種類がある中に不正確な写しだがAのように放射状の梁に小さな横桁があるものを見つけた。ただ、上下2枚ではなく一体化し、側面にも胞紋が見て取れた。長年の疑問解決ですっきりしたのだ。
2013.01.10
珪藻の観察を始めた頃、写真@とAは同じものか違うものか悩んだものだ。
しかも、@のピントをずらしていくと写真Bになる。
生きた実物を採集してばらしてみれば一目瞭然ではあるが、大きさは0.2ミリ程度のものである。
とても無理とあっさりあきらめていたが、その後経験を積んだので想像してみるに、表面のリブ付き穴あき板にクモノス状の格子板で裏打ちをしているらしい。
@は二枚重なったものでごちゃごちゃしているが、Aは表面の一枚だけなのですっきりしているというわけだ。
単細胞の生き物であるが、少ない材料で大きな強度を獲得するという賢いことをしているわけだ。
2013.01.05
今描いている珪藻の絵はここまできたが、部分をお目にかける。
絵は全体を見るものだと思うが部分を注目しても絵として成り立つのがいい絵だと思う。
これを見て絵になっているではないかとなれば、そう変な絵では無いかとも思う。
とは言え、この珪藻の散らばりはMWSの奥氏の力量で出来たものである。
珪藻の量を制限して撒けば重なりのごく少ないものが出来るはずであるし、実際、一つの珪藻をキチンと撮影したい人は申し出てもらえればそのようにするとの注記がある。 だとすれば奥氏も珪藻を群れとして見るのに価値を認めて工夫を凝らしているものと思われる。
その上澄みを掬っているので大事なところは人任せであるものの、見えるように描くのは並大抵ではなく四苦八苦しているのだ。